"フィクション"の記事一覧

日本のアングラ(その14)

桐原君は突然の加奈子の参加に伴って、 端役であった少女の役に加筆をした。 彼女は登場の場面では、 「マッチ売りの少女」的な小芝居をして、 桐原君が演じる半裸の怪人に捕まり、 彼に抱えられて姿を消す。 しかし、ラストに至って、 彼女は僕のアジトで不敵な笑みを漏らし、 その本性を現すのだ。 少女の身体はもう1つ…

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日本のアングラ(その13の続き)

新人公演に参加したのは7人。 僕と作・演出の桐原君、 卒業間近の人文学部の藤堂先輩と、 同じ人文学部の中根先輩。 藤堂先輩は部長を務めた中心メンバーで男性。 中根先輩は藤堂先輩の同期の女性で、 付き合っているという噂もあった それから2年生になる田所君と三好さん。 そして、急遽出演の決まった加奈子だった。 …

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日本のアングラ(その13)

戯曲というのは、小説と同じように見えて、 実際には本質的にかなり違った部分がある文学形式だ。 戯曲と言う形式の方が、 小説という形式より歴史も古く、 全ての文学の母のような存在だ。 そもそも人間の会話や心情と言ったものは、 その人物の口から発せられる言葉であるからこそ、 他人の心を揺さぶる性質のもので、 ただの会…

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