食品保存料の健康リスク(2026年フランスの疫学データ)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
食品保存剤の心血管疾患リスク.jpg
European Heart Journal誌に 2026年5月20日付で掲載された、
食品保存料の健康リスクについての論文です。

食品添加物は食品の製造や保存の過程で、
食品に添加される物質のことで、
食品の色合いを良くするために使用される着色料や、
保存料、甘味料などの種類に分かれます。

このうち、
食品の酸化や細菌増殖などによる劣化を防ぎ、
食品が食べることの可能な期間を延ばす目的で、
使用される添加物が食品保存料です。

上記文献では食品保存料を、
抗酸化作用のあるものとそうでないものとに分けています。

日本では抗酸化作用のあるものを酸化防止剤、
それ以外の食品保存料を普通に保存料、
としていることが一般的です。

酸化防止剤には、
アスコルビン酸(ビタミンC)やトコフェロール(ビタミンE)などが、
保存料には、
ソルビン酸カリウムなどがあります。
上記文献では亜硝酸ナトリウムが保存料として分類されていますが、
日本では発色剤として使用されています。
このように同じ成分であっても、
その分類は用途には国や地域によって、
違いはあるようです。

いずれにしても非常に多くの食品添加物が、
食品の保存期間を延長するために使用されていることは、
国内外を問わず間違いがありません。

それでは、こうした保存料に健康上のリスクはないのでしょうか?

食品添加物の安全性については、
国や関係機関も研究調査をしており、
その上で通常使用される量においては、
安全性には問題がないことを確認しています。

ただ、その一方で主に動物実験などの基礎研究においては、
こうした保存料の使用が、
高血圧や心血管疾患のリスクなる、
というような報告も散見されます。

また、添加物には、
アスコルビン酸のように、
ビタミンCとして自然の食品から摂取可能な成分もあり、
そうした成分にはリスクはないのではないか、
という意見もあります。

今回の研究はフランスで行われた、
大規模な疫学研究のデータを解析したもので、
112395名の一般住民を、
中間値で7.9年観察し、
その間の病気の発症と、
複数回施行された詳細な食事記録との関連を検証しているものです。
食事記録においては、
トータルで58種類の保存料が含まれていました。

解析の結果、
酸化防止剤以外の食品保存料の摂取量が多い人は、
少ない人と比較して、
観察期間中の高血圧のリスクが29%(95%CI:1.20から1.39)、
心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクが16%(95%CI:1.04から1.29)、
それぞれ有意に増加していました。

また、
酸化防止剤の摂取量が多い人も、
少ない人と比較して、
高血圧のリスクが22%(95%CI:1.13から1.31)有意に増加していました。

このように今回の大規模な検証においては、
他の関連する因子を補正した結果として、
食品保存料を多く摂ることの、
高血圧や心血管疾患のリスク増加が示唆されました。
原因として想定される成分の中には、
ビタミンCのように、
単独ではむしろ心血管疾患予防効果が想定される物質も含まれていて、
その解釈は現時点では慎重に考えるべきだと思いますが、
同一の栄養成分であっても、
自然の食品で摂る場合と、
添加物として大量持続的に摂る場合とは、
その健康効果に違いのある可能性はあり、
食品添加物は最小限度に摂取することが、
健康維持のためには望ましいのかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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