食事の脂質の成分が前立腺がん患者の予後に与える影響
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

JAMA Network Open誌に2026年9月2日付で掲載された、
前立腺がん患者の予後に当たる食事の影響についての論文です。
前立腺がんは高齢の男性に多いがんで、
PSAという血液検査の異常値を契機として発見されることが多く、
概ねその生命予後は良いことで知られています。
ただ、実際には前立腺がん自体での死亡は少なくても、
心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)での死亡や、
他のがんの併発による死亡が多いことが近年問題視されています。
たとえば、2012年にがんの専門誌に掲載されたこちらの論文では、
スウェーデンとアメリカでの疫学データを解析した結果、
前立腺がんと診断され死亡した患者のうち、
実際に前立腺がんでの死亡者は、
スウェーデンの調査で35%、アメリカの調査で16%に過ぎず、
心血管疾患や他のがんでの死亡者の方が、
ずっと多いことが報告されています。
https://academic.oup.com/jnci/article-abstract/104/17/1335/896142?redirectedFrom=fulltext
問題なのは診断や治療の進歩により、
前立腺がん自体での死亡者は減少している一方で、
心血管疾患や他のがんでの死亡は、
減ってはいないという事実があります。
それでは、
心血管疾患などの予防に有効であるとされる、
食事の脂質バランスの調整を行うことにより、
前立腺がん患者の予後改善に結び付くのでしょうか?
今回の研究は、
アメリカにおいて、
医療従事者を対象とした疫学研究のデータを活用して、
この問題の検証を行っています。
対象は1986年から2019年に、
転移のない前立腺がんと診断された、
平均年齢69.5歳の4884名で、
中間値で12.8年の観察期間中に、
そのうちの3040名が何等かの原因により死亡しています。
脂質には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とがあり、
飽和脂肪酸は肉の脂身やバター、ラードなど、
不飽和脂肪酸には魚の油やオリーブオイル、ごま油などが含まれます。
不飽和脂肪酸は更にオメガ3系とオメガ6系、9系などに分かれ、
青身魚の油の成分として有名なEPAやDHAは、
オメガ3系脂肪酸に分類されます。
そして、心血管疾患などの予防のためには、
飽和脂肪酸の比率を減らし、
不飽和脂肪酸を増やすことが、
重要であると考えられています。
そこで飽和脂肪酸の摂取量を5分割して、
最も少ない場合と比較して、
最も多い群では、
総死亡のリスクが24%(95%CI:1.05-1.47)、
心血管疾患による死亡のリスクが42%(95%CI:,1.02-1.98)、
それぞれ有意に増加していました。
前立腺以外のがんのリスクも42%(95%CI,0.93-2.17)、
こちらは有意ではないものの、
増加している傾向は示していました。
飽和脂肪酸の主な供給源である、
動物性の脂肪を、
不飽和脂肪酸の主な供給源である、
植物性の脂肪に、
摂取カロリーの10%置換すると、
総死亡のリスクが16%(95%CI,0.76から0.93)、
有意に低下すると推計されました。
また総摂取カロリーの5%を、
飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸に置換すると、
総死亡のリスクが20%(95%I:0.70-0.91)、
こちらも有意に低下したと推計されました。
このように、
食事の脂肪の組成を健康的な状態にすることで、
前立腺がんと診断された患者さんの予後が改善することは、
他のがんの予後改善にも結び付く重要な知見で、
がんはそのがんのみでの予後に、
医療はこれまで注力しがちでしたが、
今後はそのがん以外の予後を改善することが、
トータルには重要になって来るように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA Network Open誌に2026年9月2日付で掲載された、
前立腺がん患者の予後に当たる食事の影響についての論文です。
前立腺がんは高齢の男性に多いがんで、
PSAという血液検査の異常値を契機として発見されることが多く、
概ねその生命予後は良いことで知られています。
ただ、実際には前立腺がん自体での死亡は少なくても、
心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)での死亡や、
他のがんの併発による死亡が多いことが近年問題視されています。
たとえば、2012年にがんの専門誌に掲載されたこちらの論文では、
スウェーデンとアメリカでの疫学データを解析した結果、
前立腺がんと診断され死亡した患者のうち、
実際に前立腺がんでの死亡者は、
スウェーデンの調査で35%、アメリカの調査で16%に過ぎず、
心血管疾患や他のがんでの死亡者の方が、
ずっと多いことが報告されています。
https://academic.oup.com/jnci/article-abstract/104/17/1335/896142?redirectedFrom=fulltext
問題なのは診断や治療の進歩により、
前立腺がん自体での死亡者は減少している一方で、
心血管疾患や他のがんでの死亡は、
減ってはいないという事実があります。
それでは、
心血管疾患などの予防に有効であるとされる、
食事の脂質バランスの調整を行うことにより、
前立腺がん患者の予後改善に結び付くのでしょうか?
今回の研究は、
アメリカにおいて、
医療従事者を対象とした疫学研究のデータを活用して、
この問題の検証を行っています。
対象は1986年から2019年に、
転移のない前立腺がんと診断された、
平均年齢69.5歳の4884名で、
中間値で12.8年の観察期間中に、
そのうちの3040名が何等かの原因により死亡しています。
脂質には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とがあり、
飽和脂肪酸は肉の脂身やバター、ラードなど、
不飽和脂肪酸には魚の油やオリーブオイル、ごま油などが含まれます。
不飽和脂肪酸は更にオメガ3系とオメガ6系、9系などに分かれ、
青身魚の油の成分として有名なEPAやDHAは、
オメガ3系脂肪酸に分類されます。
そして、心血管疾患などの予防のためには、
飽和脂肪酸の比率を減らし、
不飽和脂肪酸を増やすことが、
重要であると考えられています。
そこで飽和脂肪酸の摂取量を5分割して、
最も少ない場合と比較して、
最も多い群では、
総死亡のリスクが24%(95%CI:1.05-1.47)、
心血管疾患による死亡のリスクが42%(95%CI:,1.02-1.98)、
それぞれ有意に増加していました。
前立腺以外のがんのリスクも42%(95%CI,0.93-2.17)、
こちらは有意ではないものの、
増加している傾向は示していました。
飽和脂肪酸の主な供給源である、
動物性の脂肪を、
不飽和脂肪酸の主な供給源である、
植物性の脂肪に、
摂取カロリーの10%置換すると、
総死亡のリスクが16%(95%CI,0.76から0.93)、
有意に低下すると推計されました。
また総摂取カロリーの5%を、
飽和脂肪酸から不飽和脂肪酸に置換すると、
総死亡のリスクが20%(95%I:0.70-0.91)、
こちらも有意に低下したと推計されました。
このように、
食事の脂肪の組成を健康的な状態にすることで、
前立腺がんと診断された患者さんの予後が改善することは、
他のがんの予後改善にも結び付く重要な知見で、
がんはそのがんのみでの予後に、
医療はこれまで注力しがちでしたが、
今後はそのがん以外の予後を改善することが、
トータルには重要になって来るように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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