季節性インフルエンザ感染の重症化リスク(2026年メタ解析)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
インフルエンザの重症化リスク.jpg
Lancet Respiratory Medicine誌に2026年9月8日付でウェブ掲載された、
インフルエンザの重症化リスクについてのメタ解析の論文です。

季節性インフルエンザの流行が、
今年(2026年)は8月中旬のお盆明けくらいから始まっていて、
9月初旬にはクリニックのある品川区周辺でも、
保育園や小学校などでの集団感染が確認されるなど、
その影響は広がりを見せています。

毎年流行を繰り返す季節性インフルエンザには、
A型とB型の2種類があり、
A型にはH1N1pdmという、
もともとAソ連型として知られていて、
2009年に豚インフルエンザのウイルスに関連した変異を伴い、
当時新型インフルエンザとして社会問題となったものと、
H3N2という抗原型でA香港型と呼ばれていて、
こちらもマイナーな変異を繰り返して、
流行を繰り返しているものの、
2種類の系統が毎年出現しています。
B型にも大きく2系統があることが知られていますが、
現状は1つの系統のみが近年は流行しています。

今回の通常より前倒しとなった流行は、
集団感染の事例などではH1N1pdmが多く検出されていますが、
同時期にH3N2やB型のウイルスも同定されていて、
明確な傾向が現状は確認されていないようです。

さて、季節性インフルエンザは基本的には流行感冒の一種で、
多くの感染者は自然に回復しますが、
一部に入院が必要な状態に悪化したり、
致死的な経過を取る事例も確認されています。

重症化は慢性の基礎疾患や免疫機能の低下、
高齢などで生じやすいことが知られていますが、
実際にはその根拠となるデータは、
それほど精度の高いものではありません。

そこで今回の研究はWHOの委託を受け、
季節性インフルエンザ感染で重症化したり、死亡する事例の背景を、
これまでの疫学研究のデータをまとめて解析する、
システマティックレビューとメタ解析という手法を用いて、
大規模に検証しているものです。

対象となっているのは、
これまでの63の疫学研究に含まれる、
2150518名のインフルエンザ感染者で、
その背景と予後とを解析したところ、
発症の時点で重症ではないインフルエンザの感染者が、
入院治療が必要な状態となるリスクは、
年齢は10歳高いほど1.72倍(95%CI:1.02から2.89)、
心血管疾患があると2.72倍(95%CI:1.24から5.94)、
免疫不全の患者では2.70倍(95%CI:1.55から4.70)、
慢性の呼吸器疾患があると2.24倍(95%CI:1.90から2.64)、
神経疾患があると2.31倍(95%CI:1.65から3.24)
それぞれ有意に増加していました。

そして、重症のインフルエンザ感染者が死亡するリスクは、
細菌感染の併発で4.13倍(95%CI:1.53から11.14)、
栄養状態不良で3.29倍(95%CI:1.57から6.89)、
敗血症で3.19倍(95%CI:2.08から4.89)、
急性腎障害で2.92倍(95%CI:1.11から7.73)、
心血管疾患で2.43倍(95%CI:1.16から5.09)、
悪性腫瘍の合併で2.21倍(95%CI:1.31から3.72)、
神経疾患の合併で2.08倍(95%CI:1.13から3.83)、
年齢が65歳以上で2.47倍(95%CI:2.21から2.75)、
とそれぞれ有意に増加していました。

このように年齢が65歳以上で、
慢性の内臓疾患などを合併している患者さんでは、
明確にインフルエンザの重症化のリスクが増加していて、
これはある種想定通りの結果ですが、
今回精度の高いデータが得られたことの意義は大きく、
こうしたリスクの高い対象者に、
今後はインフルエンザの予防や診断、治療の重点を、
置くような対策が重要となるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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