三谷幸喜「アメリカン・ドリーム」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
アメリカンドリーム.jpg
三谷幸喜さんの新作が、
今PARCO劇場で上演されています。

三谷さんの舞台は今年は充実していて、
1月の「いのこりぐみ」もなかなかでしたし、
4月の「新宿発8時15分」は、
あれだけの上演回数というのが非常に勿体なく感じる、
三谷さんの劇作の中でも、
間違いなく上位に来る傑作でした。

そんな訳で今回もとても楽しみにして出掛けました。

今回は時々ある海外を舞台にした、
翻訳劇トリビュートという感じのお芝居で、
赤狩りの時代のアメリカを舞台にして、
映画人が如何にして権力の横暴に対して、
「藝術家」として抵抗するか、
という如何にも三谷さんらしいテーマで、
キャストも小日向文世さんを初めとして、
とても豪華な面々ですから、
その期待は観る前からとても高まります。

鑑賞後の感想としては、
とても贅沢に手の掛かった作品で、
如何にもPARCO劇場という風格を感じました。

ネタバレはしたくないのであまり言えませんが、
舞台機構の使い方が、
映像の使い方を含めてとても贅沢かつ緻密で鮮やかでしたよね。

新しい発想という感じではないのですが、
その緻密な計算と絵面の美しさには感銘を受けました。

こういうのは、
生で舞台を観ることの醍醐味の1つですよね。

また美術や衣装、メイクなどが非常に素晴らしくて、
本当に手間とお金を掛けて、
役者さんを最良の形になるように仕上げている、
という感じがありました。

ここまでしてもらえれば、
勿論役者さんも乗りますよね。

役柄を皆さんが十全に体現した、
ある種の演劇の教科書のような、
素晴らしい演技であったと思いました。

ただ、肝心の内容については、
今回は今一つだったですね。

三谷さん自身が新しい試み、と言っていますから、
色々と思うところがあったんだと思うのですね。
全体としては、「笑の大学」の変奏曲という感じで、
それを6人でプロローグとエピローグに挟まれた、
3場のお芝居という感じにして、
それぞれ3人の藝術家が、
権力の追求に個性的な別の方法で立ち向かう、
という構成になっています。

「笑の大学」の3倍増しを狙った、
という訳で、
そうなれば凄かったと思うのですが、
実際には追求する側も終始腰が引けている感じで、
権力の怖さみたいなものがまるでないし、
1場の浅野和之編はとても良かったのですが、
2場の山崎一編が、
ただののらりくらりの受け答えに、
追求側がなすすべもなく降参、
というのが脱力ですし、
クライマックスの小日向文世編が、
それほど盛り上がることなく終わってしまうので、
「一体何がしたかったの?」
という感じが最後まで抜けませんでした。

多分三谷さんとしては、
本当にやりたかったことは出来なかったのかな、
という感じがするのですが、
勿論作家にはそうしたことはあると思いますし、
明確な締め切りのある劇作では猶更ですから、
それを分かった上で、
本来作品の質が良ければ、
あまり必要のない舞台機構や演出技巧を駆使して、
お客さんに一定の満足感を持って劇場を後にしてもらおうと言う、
三谷さんやスタッフ、キャストの、
これぞプロというクオリティの高さを、
褒めるべき舞台であったように感じました。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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