「第三舞台2026」『パレイドリア』

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
パレイドリア.jpg
鴻上尚史さんが新作を書き、
かつての第三舞台のメンバーが、
キャストの中心として出演した舞台が、
今新宿紀伊国屋ホールで上演されています。

60代になった大高洋夫さん、小須田康人さん、
長野里美さん、山下裕子さんが、
同じサークルの同窓生という設定で、
若年性認知症の症状を発症した大高さんが、
いきなり大学時代に上演中止となった「桃太郎」を、
今上演しようと同窓生に42年ぶりに持ち掛け、
それが彼らの息子や娘など、
下の世代も巻き込んで、
「演劇を上演すること」の意味を問う、
という物語に集約してゆきます。

客席はかつての第三舞台のファンだった方が、
主体と思えるような雰囲気で、
ロキシーミュージックが流れる上演前から、
もう噎せ返るような懐かしさと切なさとが、
劇場中に充満しているという感じ。

内容も鴻上さんやキャストと共に、
年を重ねた観客の思いが、
重ね合わされるように展開されるので、
ある種の戦友としての一体感を、
僕を含めて多くの観客が体感するような公演でした。

鴻上さんもそのことを良く承知しているので、
最近の作品では、
素晴らしかった2024年の「朝日のような夕日をつれて」のリニューアル版と共に、
最も強くかつての第三舞台の内容と演出とを、
感じさせる作品に仕上がっていました。

長野さんのお決まりの扮装から、
大高さんのギター伴奏による皆の歌、
そしてスタイリッシュな群舞、
全員で幼児姿になっての遊びタイムと、
かつての第三舞台を沸かせた趣向も、
昔同様の熱量で再現され、
観客の胸を熱くさせていました。

何より集団が崩壊するきっかけとなったトラウマに、
年月を経て対面すると言う趣向、
そして物語の中心に不在のヒロインがいて、
彼女をどう救うかが、
全員の切実なテーマになるという構造が、
これぞ第三舞台、という、
かつての多くの観客が熱狂したその本質を具現していました。

ただ、過去との違いと言えば、
トラウマとなった事件が、
以前の作品ではあまり明瞭には明かされなかったのが、
今回の作品では事実がクリアに示されている点で、
昔からの小劇場ファンとしては、
ここは明白にせず余白を残した方が気分なのですが、
今の世の中は、
曖昧さを許さないので、
仕方がないことなのかも知れません。

また、大高さん演じる主人公が、
自分の息子と抱き合うというラストは、
物語が続いて行くというこれまでのラストとは、
一線を画するもので、
観客にノスタルジーを超えた何かを、
伝えたい思いがあったように感じました。

キャストは皆好演でしたが、
何と言っても、
水を得た魚のような暴れっぷりをみせた、
長野里美さんが最高で、
ある種長野里美劇場と言って良いような今回の舞台でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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