「プライマ・フェイシィー私の声を聞いてー」(2026年栗山民也演出版)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
プライマ・フェイシィ.jpg
オーストラリアのスージー・ミラーさんによる、
2019年に発表された1人芝居を、
日本版として三浦透子さんが演じ、
栗山民也さんが演出したシス・カンパニーの舞台が、
今下北沢のスズナリで上演されています。

これは控え目に言って最高の舞台で、
観客の1人1人が感銘を受けていたことは、
カーテンコールの拍手の音色で分かります。
本物の心からの拍手でした。

三浦さん最高!栗山さん最高!!
という感じの舞台です。

内容はどストレートな社会派演劇で、
今の日本においても一番ホットな問題の1つと言って良い、
男性から性加害を受けた女性と司法の問題を描いています。

主人公は法廷弁護士の女性で、
レイプの加害者を弁護するような仕事をしていたのですが、
自分が職場の友人から、
飲酒の上で性行為を強要され、
今度は自分が原告の被害者の立場で裁判に立つことになります。

これを純粋な1人芝居で1時間45分ほどで描くのですが、
日本語のこうした舞台とはちょっと毛色が変わっていて、
1人語りと言った感じで、
自分の台詞と、ナレーションと、会話している相手の台詞も、
目まぐるしく、切り替えながら、
モザイクみたいに台詞化しているんですね。

どちらかと言えば、落語に近い感じのスタイルですが、
語りの客観性は西洋演劇のものですし、
動作も舞台を立体的に大きく使っています。

この作品の成功は、
ともかく栗山さんの演出の素晴らしさですね。

栗山さんの演出は、
モノトーンで地味でガッカリ、
ということもあるのですが、
今回は本当に見事でしたね。
まさに完璧な演出、という感じ。

スズナリは小さな劇場ですが、
舞台は目一杯に奥行きを広く取って、
ブルーの直方体みたいに仕上げているんですね。
如何にも西欧演劇という感じです。
必要最小限のものしか置いていないのですが、
その1つ1つが絶妙に効果を上げているでしょ。

生の映像を使って、
それを背後の壁に映したりもするのですが、
それもほんの一場面でしか使わないのですね。
とても贅沢な造りです。

途中で2年の時間経過があるのですが、
それをね、背後の壁にカウンターみたいに、
日数を数字だけで表示するんですね。
最初何の数字なのか分からないのですが、
それが後の台詞でなるほど、と分かるのです。
こういうところもセンスですね。

小劇場でありながら、
舞台はとても広角に使われていて、
主人公が奥の壁際に立った時と、
中央にいる時、前面に出て来た時と、
それぞれに雰囲気が変わります。
演技の構造自体が非常に緻密に計算されていて、
役者の演技の質感や表情に合わせて、
照明の方向なども繊細に調整されています。

1人芝居だから出来たことだと思うのですが、
芝居と空間の演出とが、
完璧に補完し最大の効果を上げているのです。

本当に感服しました。

小劇場なのに、
舞台の前面と客席との間に、
結構距離があるんですね。
最初、どうしてこんな風にしたんだろう、
あまり前で芝居をしたくないのかしら、
みたいに思ったのですが、
実はその不思議が作品のラストでちゃんと回収されるのですね。
本当に凄いなと思いました。

そして勿論、三浦透子さんの演技ですよね。

感銘を受けましたね。

本当に端正で真摯な芝居なんですよね。
最初はね、これ長澤まさみさんだったらどうなのかしら、
なんて思わなくはなかったんですね。
それが後半になって凄味をましてきて、
それで最後の机の上でのアジテーションでしょ。

凄い芝居でしたよね。
最後はぐしょぐしょに涙を流して。
勿論涙を流せる女優さんは他にも沢山いますけれど、
ああいう感じで泣ける人は、
そうはいないと思いますね。

本当に感動的な芝居でしたし、
これだけのものはそうざらにないと感じました。

でも、そこに向けてのね、
栗山さんの演出の計算が、
ともかく凄いのです。

そんな訳で、
ともかく絶品の1人芝居で、
こんな素晴らしい舞台に出逢えることは、
まあざらにはないことは間違いないので、
これはもう演劇好きの方であれば、
絶対に観逃してはいけない1本だと思います。

絶対観てね!

それでは今日はこのくらいで。

今日は皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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