尿路結石予防のために水分摂取を促すことの有効性は?

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
飲水の尿路結石予防効果.jpg
Lancet誌に2026年3月21日付で掲載された、
水を多く飲む指導の、
尿管結石予防効果についての論文です。

尿管結石は何等かの原因により、
腎臓に出来たカルシウムや尿酸、シュウ酸などを含む結晶(石)が、
尿管に詰まることによって、
激しい背中やお腹の痛みを生じる病気です。

症状は通常一時的で、
結石が尿管を通過して、
膀胱に落ちれば軽快しますが、
結石は複数あることの方が多く、
発作の再発が問題となります。

ここで尿路結石の痛みの発作の再発予防として、
生活指導として行われることが多い指導が、
「水を沢山飲みなさい」というものです。

確かに尿量が少ない状態では、
尿管に落ちた石が、
膀胱へと流れにくいというのは、
イメージ的には分かりやすい想定です。

それでは、
実際に飲水量を増やすことにより、
どの程度結石発作は予防出来るのでしょうか?

1996年に発表された論文によると、
尿路結石を起こしたことのある患者に、
水を多く飲むように指導を行うと、
5年間の尿路結石の再発リスクが低下した、
と報告されています。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8583588/
ただ、これはそれほど精度の高いデータではなく、
他に介入試験などで検証したデータは殆ど存在していません。

つまり、
「水分を多く摂れば尿路結石は予防出来る」
という主張の科学的根拠は、
それほど明確なものではないのです。

今回の研究はアメリカの複数施設において、
12歳以上で1回以上の尿路結石の発作の既往があり、
大人では1日の尿量が2リットル未満であるなど、
飲水量が少ないと想定される1658名を対象として、
くじ引きで2つの群に分けると、
一方は特に飲水についての指導を行わず、
もう一方は、
大人の場合1日の尿量を2.5リットルを超えることを目標として、
金銭的報酬を含む、
多角的な飲水量増加の指導を行い、
中央値で738日の経過観察を施行しています。

その結果、
観察期間を通じての症状を伴う結石発作は、
飲水指導群で19%に当たる154例に認められたのに対して、
コントロール群では20%に当たる165例に認められ、
両者に明確な差は認められませんでした。

このように、
飲水量を増やす指導を行なっても、
今回の研究では明確な結石発作の予防効果には、
繋がっていませんでした。

勿論脱水は健康面で多くのリスクに繋がりますから、
飲水を適切に維持することは重要な生活習慣ですが、
殊更飲水量を増やしても、
尿路結石の予防に繋がるという科学的根拠は、
現時点でそれほど明確なものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

この記事へのコメント

さすらいの、、、、
2026年04月15日 17:08
高齢になっても水分は多くとるように、の記事でさっそく実行。すると頻尿が多くなり気が付いた。若い人と違って身体が冠水ちからがないことを。