コーヒーによるテロミア長短縮予防効果(2025年精神疾患患者の疫学データ)
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

BMJ Mental Health誌に2025年11月25日付で掲載された、
コーヒーを飲む習慣が、
テロミア長に与える影響についての論文です。
テロミアというのは、
複製されるDNAの両端にある、
染色体の末端を保護するような構造です。
こちらをご覧下さい。

テロミアの構造を示した画像です。
左上にある青いXの形をしている構造が、
DNAの折り畳まれた構造物である染色体です。
この染色体の両端に赤く図示されているのが、
テロミアという構造で、
染色体という紐の両端に付いたキャップのように見えます。
これをほぐしてみると、
そこにはTTAGGGという6個の塩基が、
繰り返しの配列を作っています。
その先端にはループ状の構造があり、
テロミラーゼという、
テロミアの繰り返しを合成する酵素が存在しています。
細胞は分裂を繰り返していて、
その時に遺伝情報であるDNAは複製されます。
ただ、その複製の時に、
完全に全てのDNAが複製はされず、
テロミアの部分のみが少し短縮します。
従って、分裂を繰り返す毎に、
テロミアは短縮してゆき、
テロミアの構造がなくなって、
複製されるDNAがむき出しになると、
もうその細胞は分裂が出来なくなります。
これがその細胞の一種の寿命と考えられます。
ただ、出生時のテロミアの長さはおおよそ11000塩基対あり、
90歳での平均のテロミアの長さが6000塩基対くらいですから、
通常の人間の寿命の中で、
細胞が分裂不能になる、
という事態は通常は起こらないのです。
テロミアの先端にはテロミラーゼという、
テロミアを合成して伸ばすことの出来る酵素が存在しているのですが、
それが機能しているのは、
生殖細胞や血液の細胞の元になる造血幹細胞など、
一部の細胞のみで、
多くの体の細胞では、
テロミアは短縮することはあっても、
再び伸びることはありません。
さて、そのメカニズムには不明の点がありますが、
テロミアが異常に短縮するという病態があり、
再生不良性貧血などの造血系の異常や、
肺線維症、肝硬変などにおいて、
遺伝子異常に伴う、
血液細胞におけるテロミアの短縮が認められます。
その多くにおいて、
テロミアに関連する遺伝子の変異が確認されています。
このようにまだ不明の点は多くありますが、
テロミアの長さと細胞の老化との間に、
一定の関連のあることは確かです。
そして、メカニズムは不明ですが、
ストレスでテロミア長がより短縮しているなど、
環境要因によってテロミア長の短縮が見られることもまた事実で、
生活習慣の改善などにより、
テロミア長の短縮が抑制された、
というような報告も見られます。
コーヒーを適度に飲むという習慣が、
糖尿病や肝臓病など多くの病気の予防に繋がり、
生命予後にも良い影響与えるというのは、
これまでの多くの疫学データにおいて実証されている事実です。
それでは、コーヒーとテロミア長との関係はどうなのでしょうか?
2016年のthe Journal of Nutrition誌に、
アメリカの看護師を対象とした、
大規模な疫学研究のデータを解析した論文が掲載されていて、
それによると、
コーヒーを多く飲む人ほどテロミア長が長かった、
という結果が報告されています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002231662300651X?via%3Dihub
今回の研究はノルウェーにおいて、
統合失調症などの精神疾患の患者さんを対象とした疫学研究のデータを活用して、
コーヒーを飲む習慣とテロミア長との関連を検証しているものです。
重度の精神疾患の患者さんにおいては、
テロミア長の短縮が報告されているからです。
トータル436名の重症の精神疾患の患者さんを対象として、
コーヒーを飲む習慣とテロミア長との関連を検証したところ、
コーヒーを全く飲まない場合と比較して、
コーヒーを1日4杯まで飲む人は、
飲む量が多いほど、
テロミア長が長く保たれていることが確認されました。
一方で1日コーヒーを5杯以上飲む人では、
3から4杯飲む人よりテロミア長は短縮していました。
このコーヒーによるテロミア長の変化は、
最大で細胞年齢の5年分に匹敵すると推計されました。
こういう言い方はやや乱暴になりますが、
コーヒーを3から4杯飲む人は、
飲まない人より細胞年齢が5歳若くなる、
という結果です。
今回のデータはテロミア短縮が想定される、
重症の精神疾患に限定したものなので、
その点は留意する必要がありますが、
コーヒーの健康効果の1つの側面と考えると興味深く、
今後の更なる検証にも期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
BMJ Mental Health誌に2025年11月25日付で掲載された、
コーヒーを飲む習慣が、
テロミア長に与える影響についての論文です。
テロミアというのは、
複製されるDNAの両端にある、
染色体の末端を保護するような構造です。
こちらをご覧下さい。

テロミアの構造を示した画像です。
左上にある青いXの形をしている構造が、
DNAの折り畳まれた構造物である染色体です。
この染色体の両端に赤く図示されているのが、
テロミアという構造で、
染色体という紐の両端に付いたキャップのように見えます。
これをほぐしてみると、
そこにはTTAGGGという6個の塩基が、
繰り返しの配列を作っています。
その先端にはループ状の構造があり、
テロミラーゼという、
テロミアの繰り返しを合成する酵素が存在しています。
細胞は分裂を繰り返していて、
その時に遺伝情報であるDNAは複製されます。
ただ、その複製の時に、
完全に全てのDNAが複製はされず、
テロミアの部分のみが少し短縮します。
従って、分裂を繰り返す毎に、
テロミアは短縮してゆき、
テロミアの構造がなくなって、
複製されるDNAがむき出しになると、
もうその細胞は分裂が出来なくなります。
これがその細胞の一種の寿命と考えられます。
ただ、出生時のテロミアの長さはおおよそ11000塩基対あり、
90歳での平均のテロミアの長さが6000塩基対くらいですから、
通常の人間の寿命の中で、
細胞が分裂不能になる、
という事態は通常は起こらないのです。
テロミアの先端にはテロミラーゼという、
テロミアを合成して伸ばすことの出来る酵素が存在しているのですが、
それが機能しているのは、
生殖細胞や血液の細胞の元になる造血幹細胞など、
一部の細胞のみで、
多くの体の細胞では、
テロミアは短縮することはあっても、
再び伸びることはありません。
さて、そのメカニズムには不明の点がありますが、
テロミアが異常に短縮するという病態があり、
再生不良性貧血などの造血系の異常や、
肺線維症、肝硬変などにおいて、
遺伝子異常に伴う、
血液細胞におけるテロミアの短縮が認められます。
その多くにおいて、
テロミアに関連する遺伝子の変異が確認されています。
このようにまだ不明の点は多くありますが、
テロミアの長さと細胞の老化との間に、
一定の関連のあることは確かです。
そして、メカニズムは不明ですが、
ストレスでテロミア長がより短縮しているなど、
環境要因によってテロミア長の短縮が見られることもまた事実で、
生活習慣の改善などにより、
テロミア長の短縮が抑制された、
というような報告も見られます。
コーヒーを適度に飲むという習慣が、
糖尿病や肝臓病など多くの病気の予防に繋がり、
生命予後にも良い影響与えるというのは、
これまでの多くの疫学データにおいて実証されている事実です。
それでは、コーヒーとテロミア長との関係はどうなのでしょうか?
2016年のthe Journal of Nutrition誌に、
アメリカの看護師を対象とした、
大規模な疫学研究のデータを解析した論文が掲載されていて、
それによると、
コーヒーを多く飲む人ほどテロミア長が長かった、
という結果が報告されています。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002231662300651X?via%3Dihub
今回の研究はノルウェーにおいて、
統合失調症などの精神疾患の患者さんを対象とした疫学研究のデータを活用して、
コーヒーを飲む習慣とテロミア長との関連を検証しているものです。
重度の精神疾患の患者さんにおいては、
テロミア長の短縮が報告されているからです。
トータル436名の重症の精神疾患の患者さんを対象として、
コーヒーを飲む習慣とテロミア長との関連を検証したところ、
コーヒーを全く飲まない場合と比較して、
コーヒーを1日4杯まで飲む人は、
飲む量が多いほど、
テロミア長が長く保たれていることが確認されました。
一方で1日コーヒーを5杯以上飲む人では、
3から4杯飲む人よりテロミア長は短縮していました。
このコーヒーによるテロミア長の変化は、
最大で細胞年齢の5年分に匹敵すると推計されました。
こういう言い方はやや乱暴になりますが、
コーヒーを3から4杯飲む人は、
飲まない人より細胞年齢が5歳若くなる、
という結果です。
今回のデータはテロミア短縮が想定される、
重症の精神疾患に限定したものなので、
その点は留意する必要がありますが、
コーヒーの健康効果の1つの側面と考えると興味深く、
今後の更なる検証にも期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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