高脂肪チーズとクリームの認知症予防効果(2025年スウェーデンの疫学データ)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談や訪問診療で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
高脂肪チーズの認知症予防効果.jpg
Neurology誌に2025年12月17日付で掲載された、
高脂肪の乳製品の一部に認知症予防効果があるという、
ちょっとビックリの疫学データです。

乳製品の健康への影響については様々な意見があります。

牛乳に代表される乳製品は、
タンパク質やカルシウム、脂肪など、
多くの栄養素をバランス良く含み、
子供の成長を助け、
高齢者の低栄養の予防や健康保持にも、
古くからその有効性が認識されています。

ただ、その一方で牛由来の抗原などが、
アレルギー疾患のリスクになるという意見や、
動物性脂肪が多い点が、
動脈硬化などのリスクなるという意見もあります。

乳製品には、
牛乳をそのまま使用する生乳以外に、
その成分を調整した調整乳、
加工品であるチーズやヨーグルト、
乳脂肪をそのまま取り出したクリームなど、
多くの種類があり、
その種類によっても健康への影響に差がある、
というデータが最近は多くなっています。

特に加工乳のチーズやヨーグルトが良い、
というデータや、
高脂肪よりも低脂肪の方が健康に良い、
というデータが複数報告されています。

認知症は生活習慣が大きく影響する病気の1つで、
長期間の食生活が、
その後の認知症の発症に影響を与えることは間違いがありません。

それでは、
乳製品の摂取と認知症との関係はどうなのでしょうか?

今回の研究はスウェーデンにおいて、
食事と癌との関連を検証した大規模疫学研究のデータを活用して、
認知症と乳製品の摂取との関連性を検証しています。

トータル27670名の一般住民(登録時の平均年齢58.1歳)を、
中央値で25年という長期間経過観察したところ、
高脂肪のチーズ(脂肪分>20%)を1日50グラム以上摂取する人は、
あまり摂取しない人と比較して、
トータルな認知症の発症リスクが13%(95%CI:0.78から0.97)、
脳血管性認知症のリスクが29%(95%CI:0.52から0.96)、
それぞれ有意に低下していました。

また高脂肪のクリーム(脂肪分>30%)を1日20グラム以上摂取する人は、
摂取しない人と比較して、
トータルな認知症のリスクが16%(95%CI:0.72から0.98)有意に低下していました。

一方で生乳やバター、低脂肪チーズ、低脂肪クリーム、
ヨーグルトなどの摂取と、
認知症リスクとの間には明確な関連は認められませんでした。

今回のデータは、
高脂肪のチーズとクリームのみが、
認知症予防効果があったというもので、
これまでの低脂肪が良いのでは、
という見解とは真逆の結果になっています。

ただ、データを細かく見ると、
そこまで明確な差が生乳とチーズなどであるとは考えにくく、
通常の食事での摂取であれば、
認知症リスクにはあまり大きな影響を与えないと、
そう捉えた方が良いような気もします。

データの解釈は現時点では困難ですが、
高齢者は低栄養となることも多く、
高脂肪の乳製品を摂ることが、
その予防に繋がったという可能性は1つ考えられます。
いずれの食品も、
少量でカロリーを摂ることが可能であるからです。

今後この問題は多角的な検証が必要ですが、
認知症予防という観点のみで考えた場合、
乳製品はほどほどに摂る範囲では大きな健康上のリスクはなく、
低脂肪選択の有効性や発酵乳の健康効果については、
現状は不明と考えた方が良さそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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