アスリートの徐脈と遺伝との関連
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

Circulation 誌に2025年12月18日付で掲載された、
アスリートの脈の遅さの原因についての論文です。
通常脈拍数は1分間に50回以上が正常とされていて、
49回以下は脈が正常より遅い状態、「徐脈」と診断されます。
それでは脈が49回以下であれば、
即病気であるかと言うと勿論そうではなく、
体質的に脈が遅めになることもあって、
その多くは特に健康上の問題のない徐脈と考えられています。
脈拍は通常心臓でペースメーカーの役割をしている、
洞結節という場所でコントロールされています。
この基本となる脈拍数は、
ある程度生まれつき決められているものですが、
洞結節のリモデリングと言って、
脈拍数が変更される場合があり、
その要因の1つが運動による負荷です。
アスリート、特にマラソンなど、
持久的な運動を常時しているアスリートにおいて、
脈拍が極端に低い事例があることが知られています。
安静時の脈拍が低い方が、
心臓が1回に拍出する血液の量は増えますし、
運動して脈拍が増加した時の、
限界に達するまでの振り幅も大きくなります。
そのため持続的な負荷に心臓が対応して、
洞結節のリモデリングが起こるのです。
持久的な運動をしているアスリートでは、
8割に徐脈があり、
3分の1に2秒を超える洞停止がある、
という報告があります。
2秒を超える洞停止というのは、
単純に言えば脈拍が30回を切る場合があるということです。
一般的に3秒を超えるような洞停止が見られる場合には、
失神などのリスクがあり、
ペースメーカーの埋め込みなどの治療が考慮されます。
ただ、これが持久的な運動しているアスリートにおいても、
当て嵌まることなのかどうか、
という点については、
あまり明確なことが分かっていません。
また、持久的な運動をするアスリートにおける徐脈が、
どの程度体質に関連しているのか、
という点についてもデータは限られています。
そこで今回の研究では、
現役もしくは引退した、
持久的な運動を行う465名のアスリートを対象として、
ホルター心電図などによる徐脈の解析を行い、
脈拍が1分に40回以下の徐脈と、
その予後との関連を検証。
また、脈拍数を生得的に決定している複数の遺伝子と、
アスリートの徐脈との関連も検証しています。
その結果、465名の持久的な運動を行うアスリートのうち、
安静時の脈拍が40回以下であったのは、
そのうちの38%に当たる175名で、
そのうち2%に当たる7名は、
脈拍が30回以下と高度の徐脈を呈していました。
全体の3%に当たる12名では、
3秒以上の洞停止が認められていました。
徐脈のアスリートの心機能は高く、
典型的なスポーツ心臓の状態でした。
5.5年の観察期間において、
高度の徐脈や洞停止と、
死亡やペースメーカーの埋め込みなどのリスクとの間に、
明確な関連は認められませんでいsた。
ここで徐脈に関わる複数の遺伝子との関連をみると、
アスリート以外で解析されたコントロール群と比較して、
持久的な運動を行うアスリートでは、
生得的に徐脈を2.2倍(95%CI:1.3から3.9)
発症し易くなっていることが確認されました。
今回の研究結果からは、
持久的な運動を行うアスリートでは、
徐脈を呈する比率は高いものの、
ペースメーカーの適応となるような高度の徐脈は、
実際にはそれほどは多くはなく、
5.5年という短期的な検討という限界はありますが、
徐脈は健康上のリスクではない可能性が高いことが示されました。
そして、徐脈の原因としては、
これまで運動負荷による適応が主だと想定されていましたが、
意外に遺伝的な要素が大きい、
つまり、もともと徐脈の傾向のある人が、
持久的な運動をするアスリートになるケースが多い、
ということが確認されました。
徐脈に関わる遺伝素因は、
健康上の悪影響に繋がるリスクを、
やや高めるという可能性はあり、
今後徐脈のアスリートを、
一律に適応の問題で心配ない、
と考えるのではなく、
遺伝的な素因も考慮した上で、
その長期的なリスクを考える必要があるかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Circulation 誌に2025年12月18日付で掲載された、
アスリートの脈の遅さの原因についての論文です。
通常脈拍数は1分間に50回以上が正常とされていて、
49回以下は脈が正常より遅い状態、「徐脈」と診断されます。
それでは脈が49回以下であれば、
即病気であるかと言うと勿論そうではなく、
体質的に脈が遅めになることもあって、
その多くは特に健康上の問題のない徐脈と考えられています。
脈拍は通常心臓でペースメーカーの役割をしている、
洞結節という場所でコントロールされています。
この基本となる脈拍数は、
ある程度生まれつき決められているものですが、
洞結節のリモデリングと言って、
脈拍数が変更される場合があり、
その要因の1つが運動による負荷です。
アスリート、特にマラソンなど、
持久的な運動を常時しているアスリートにおいて、
脈拍が極端に低い事例があることが知られています。
安静時の脈拍が低い方が、
心臓が1回に拍出する血液の量は増えますし、
運動して脈拍が増加した時の、
限界に達するまでの振り幅も大きくなります。
そのため持続的な負荷に心臓が対応して、
洞結節のリモデリングが起こるのです。
持久的な運動をしているアスリートでは、
8割に徐脈があり、
3分の1に2秒を超える洞停止がある、
という報告があります。
2秒を超える洞停止というのは、
単純に言えば脈拍が30回を切る場合があるということです。
一般的に3秒を超えるような洞停止が見られる場合には、
失神などのリスクがあり、
ペースメーカーの埋め込みなどの治療が考慮されます。
ただ、これが持久的な運動しているアスリートにおいても、
当て嵌まることなのかどうか、
という点については、
あまり明確なことが分かっていません。
また、持久的な運動をするアスリートにおける徐脈が、
どの程度体質に関連しているのか、
という点についてもデータは限られています。
そこで今回の研究では、
現役もしくは引退した、
持久的な運動を行う465名のアスリートを対象として、
ホルター心電図などによる徐脈の解析を行い、
脈拍が1分に40回以下の徐脈と、
その予後との関連を検証。
また、脈拍数を生得的に決定している複数の遺伝子と、
アスリートの徐脈との関連も検証しています。
その結果、465名の持久的な運動を行うアスリートのうち、
安静時の脈拍が40回以下であったのは、
そのうちの38%に当たる175名で、
そのうち2%に当たる7名は、
脈拍が30回以下と高度の徐脈を呈していました。
全体の3%に当たる12名では、
3秒以上の洞停止が認められていました。
徐脈のアスリートの心機能は高く、
典型的なスポーツ心臓の状態でした。
5.5年の観察期間において、
高度の徐脈や洞停止と、
死亡やペースメーカーの埋め込みなどのリスクとの間に、
明確な関連は認められませんでいsた。
ここで徐脈に関わる複数の遺伝子との関連をみると、
アスリート以外で解析されたコントロール群と比較して、
持久的な運動を行うアスリートでは、
生得的に徐脈を2.2倍(95%CI:1.3から3.9)
発症し易くなっていることが確認されました。
今回の研究結果からは、
持久的な運動を行うアスリートでは、
徐脈を呈する比率は高いものの、
ペースメーカーの適応となるような高度の徐脈は、
実際にはそれほどは多くはなく、
5.5年という短期的な検討という限界はありますが、
徐脈は健康上のリスクではない可能性が高いことが示されました。
そして、徐脈の原因としては、
これまで運動負荷による適応が主だと想定されていましたが、
意外に遺伝的な要素が大きい、
つまり、もともと徐脈の傾向のある人が、
持久的な運動をするアスリートになるケースが多い、
ということが確認されました。
徐脈に関わる遺伝素因は、
健康上の悪影響に繋がるリスクを、
やや高めるという可能性はあり、
今後徐脈のアスリートを、
一律に適応の問題で心配ない、
と考えるのではなく、
遺伝的な素因も考慮した上で、
その長期的なリスクを考える必要があるかも知れません。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
この記事へのコメント