便秘薬の腎機能低下抑制効果
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

Science Advances 誌に2025年8月29日付で掲載された、
比較的新しい便秘薬のルビプロストンに、
慢性腎臓病の患者さんの進行予防効果が認められた、
という興味深い臨床試験結果についての論文です。
慢性腎臓病は高血圧など種々の原因で、
腎機能が進行性に低下する病気の総称で、
放置すれば腎不全や透析のリスクが高まります。
そのため塩分制限など、
その時期に応じた食事指導と共に、
レニン・アンジオテンシン系を抑制する薬剤や、
糖尿病の治療薬である、
SGLT2阻害剤、GLP-1作動薬などが、
その進行予防に一定の有効性が確認された薬剤の使用が行われます。
しかし、そうした薬剤で完全にその進行を抑えることは、
なかなか困難であるのが実際で、
進行予防に有効な新しい治療薬の開発が、
世界的に求められているところです。
便秘は慢性腎臓病に高い頻度で合併する症状で、
その重症度は腎機能低下の進行や、
透析のリスクと高い関連性があることが知られています。
慢性腎臓病と便秘症との関連は、
その全てが解明されている訳ではありませんが、
腎臓病で便秘になる要因の1つとして、
腸内細菌叢の変化があり、
そのために更に腎機能低下が施行する、
という悪循環が指摘されています。
便秘症は腎機能低下の結果であると共に、
その進行の原因の1つでもあるのです。
そのため慢性腎臓病の患者さんにおいては、
便秘を改善して快便な状態にすることが、
腎臓病自体の進行予防のためにも重要です。
ただ、広く便秘症に使用されている、
便を柔らかくする薬である酸化マグネシウムは、
腎機能低下がある程度進行していると、
高マグネシウム血症のリスクがあり、
その使用は控えるべきとされています。
このように、
慢性腎臓病においては、
便秘のコントロールが、
患者さんの予後の改善のためにも、
非常に重要な役割を持っているのです。
ルビプロストン(商品名アミティーザ)は、
日本では2012年に発売された、
比較的新しい便秘治療薬で、
クロライドチャネルアクティベーターという、
小腸のクロライドチャネルという箇所を活性化することによって、
腸内の水分量を増やすというメカニズムの薬です。
酸化マグネシウムに似ているのですが、
高マグネシウム血症は起こさないので、
腎機能がある程度低下していても、
安全に使用出来るという点、
慢性腎臓病の患者さんに適している薬剤です。
それでは慢性腎臓病の患者さんにルビプロストンを使用することで、
腎機能低下の進行に、
どのような影響があるのでしょうか?
今回の研究は慢性腎臓病のG3bからG4
(推計糸球体濾過量で25から45mL/分/1.73㎡)という、
中等度以上進行した慢性腎臓病の患者さん、
トータル150名をくじ引きで3つの群に分けると、
患者さんにも主治医にも分からないように、
2つの群では用量を変えてルビプロストンを使用し、
もう1つの群では偽薬を使用して、
24週間の経過観察を行っています。
使用されている用量は1日8μgと16μgで、
これは通常に使用されている便秘に対する用量より、
少ない設定になっています。
主要な評価項目は尿中のインドキシル硫酸濃度の変化で、
これは腎機能低下や腸内細菌叢の変化を判断する指標ですが、
今回の研究ではその濃度にルビプロストンは、
明確な影響を与えていませんでした。
しかし、16μgというこの試験では高用量の投与群で、
腎機能の低下が偽薬群と比較して、
抑制されていることが確認されました。
その原因を解析したところ、
ルビプロストンは腸内細菌叢を変化させることにより、
それにより腸内で産生されたスペルミジンという物質が、
腎臓に保護的に働いている可能性が示唆されました。
まだ今後検証を重ねる必要がありますが、
通常に使用されている、
安全性の高い便秘症治療薬が、
慢性腎臓病の患者さんの腎機能低下を抑制する、
という今回のデータは非常に興味深く、
今後の更なるデータの蓄積に期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Science Advances 誌に2025年8月29日付で掲載された、
比較的新しい便秘薬のルビプロストンに、
慢性腎臓病の患者さんの進行予防効果が認められた、
という興味深い臨床試験結果についての論文です。
慢性腎臓病は高血圧など種々の原因で、
腎機能が進行性に低下する病気の総称で、
放置すれば腎不全や透析のリスクが高まります。
そのため塩分制限など、
その時期に応じた食事指導と共に、
レニン・アンジオテンシン系を抑制する薬剤や、
糖尿病の治療薬である、
SGLT2阻害剤、GLP-1作動薬などが、
その進行予防に一定の有効性が確認された薬剤の使用が行われます。
しかし、そうした薬剤で完全にその進行を抑えることは、
なかなか困難であるのが実際で、
進行予防に有効な新しい治療薬の開発が、
世界的に求められているところです。
便秘は慢性腎臓病に高い頻度で合併する症状で、
その重症度は腎機能低下の進行や、
透析のリスクと高い関連性があることが知られています。
慢性腎臓病と便秘症との関連は、
その全てが解明されている訳ではありませんが、
腎臓病で便秘になる要因の1つとして、
腸内細菌叢の変化があり、
そのために更に腎機能低下が施行する、
という悪循環が指摘されています。
便秘症は腎機能低下の結果であると共に、
その進行の原因の1つでもあるのです。
そのため慢性腎臓病の患者さんにおいては、
便秘を改善して快便な状態にすることが、
腎臓病自体の進行予防のためにも重要です。
ただ、広く便秘症に使用されている、
便を柔らかくする薬である酸化マグネシウムは、
腎機能低下がある程度進行していると、
高マグネシウム血症のリスクがあり、
その使用は控えるべきとされています。
このように、
慢性腎臓病においては、
便秘のコントロールが、
患者さんの予後の改善のためにも、
非常に重要な役割を持っているのです。
ルビプロストン(商品名アミティーザ)は、
日本では2012年に発売された、
比較的新しい便秘治療薬で、
クロライドチャネルアクティベーターという、
小腸のクロライドチャネルという箇所を活性化することによって、
腸内の水分量を増やすというメカニズムの薬です。
酸化マグネシウムに似ているのですが、
高マグネシウム血症は起こさないので、
腎機能がある程度低下していても、
安全に使用出来るという点、
慢性腎臓病の患者さんに適している薬剤です。
それでは慢性腎臓病の患者さんにルビプロストンを使用することで、
腎機能低下の進行に、
どのような影響があるのでしょうか?
今回の研究は慢性腎臓病のG3bからG4
(推計糸球体濾過量で25から45mL/分/1.73㎡)という、
中等度以上進行した慢性腎臓病の患者さん、
トータル150名をくじ引きで3つの群に分けると、
患者さんにも主治医にも分からないように、
2つの群では用量を変えてルビプロストンを使用し、
もう1つの群では偽薬を使用して、
24週間の経過観察を行っています。
使用されている用量は1日8μgと16μgで、
これは通常に使用されている便秘に対する用量より、
少ない設定になっています。
主要な評価項目は尿中のインドキシル硫酸濃度の変化で、
これは腎機能低下や腸内細菌叢の変化を判断する指標ですが、
今回の研究ではその濃度にルビプロストンは、
明確な影響を与えていませんでした。
しかし、16μgというこの試験では高用量の投与群で、
腎機能の低下が偽薬群と比較して、
抑制されていることが確認されました。
その原因を解析したところ、
ルビプロストンは腸内細菌叢を変化させることにより、
それにより腸内で産生されたスペルミジンという物質が、
腎臓に保護的に働いている可能性が示唆されました。
まだ今後検証を重ねる必要がありますが、
通常に使用されている、
安全性の高い便秘症治療薬が、
慢性腎臓病の患者さんの腎機能低下を抑制する、
という今回のデータは非常に興味深く、
今後の更なるデータの蓄積に期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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