KAAT×城山羊の会「勝手に唾が出てくる甘さ」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
勝手に唾が出てくる甘さ.jpg
大好きな城山羊の会の新作公演が、
神奈川芸術劇場(KAAT)で上演されています。

この劇団は本当に好きで、
年に1回概ね年末にある公演は、
本当にそのために1年頑張っているんだ、
と思えるような特別な体験です。

最初に観た頃は、
ほぼ一般には無名と言う感じの、
岡部たかしさんと岩谷健司さんが、
今は堂々たるバイプレーヤーとして、
映像でも大活躍されているのが、
とても嬉しくもあり、
ちょっと大切な宝物を盗られたような、
せこい嫉妬を感じる思いもあります。

昨年は岩谷さんの出演がなくガッカリしたのですが、
今回は両巨頭が揃って出演し、
更にヒロインに松本まりかさん、
その夫役にはシソンヌのじろうさん、
という豪華版です。

KAATは遠くて正直不便なので(武蔵野星のホールも…)、
下北沢でやって欲しいのですが、
頑張って神奈川まで足を運びました。

今回も最高に面白くて、
特に演技陣の充実度は白眉でした。

以下少し内容に触れますので、
鑑賞予定の方は鑑賞後にお読みください。

今回は1時間50分の純粋台詞劇で、
余暇の歌唱教室と言う設定なので、
キャストの1人の生ピアノで、
岩谷さん、岡部さん、じろうさんが、
ヘンテコな愛の曲を歌い上げる、
というミュージカルというか歌芝居のような趣向が付いています。

これがまあ抜群に楽しくて、
それだけでも永遠に聴いていたくなります。

内容はいつもの、
社会的なヒエラルキーや世代格差が、
微妙に反映して展開される艶笑喜劇なのですが、
突飛な幻想や設定などはなく、
あくまで現実とそうは離れていない地平で、
物語は展開され終息される、
という点が今回の特徴です。

一時前面に出ることのあった暴力的な趣向も、
今回は舞台上での目に見える感じの暴力や流血はなく、
オフステージでのリストカット(?)のみに留められていますし、
性的な表現も今回は極めて抑制的です。

その一方で役者陣は非常に豪華ですし、
その演技レベルも、
城山羊史上隋一と言って良いくらい充実していました。

岩谷さんと岡部さんのアンサンブル芝居も、
もう古典芸能的洗練にありますし、
2回目の出演のじろうさんが、
とてもリアルで腰の据わったお芝居を、
全体のトーンに溶け込む感じで演じているのが素晴らしく、
相性の良さをとても強く感じました。

比較的キャリアの浅い他の3人のキャストも、
過不足なくその役柄を演じていてなかなかでした。

そして今回は何と言っても、
ヒロインの松本まりかさんが素晴らしく、
要するに映像でもお馴染みのいつものお芝居を、
それ以上の精度でやってのけるのですが、
それがまあまあ極上のワインを口に含んで、
そのままているような素晴らしさで、
確かにこれは「勝手に唾が出てくる甘さ」だと、
その題名に得心が行く気分になるのです。

これはもう最高でした。

じろうさんは少し前にクドカンの舞台で、
松本まりかさんはケラさんの舞台で観ているのですが、
どちらも本領発揮とは言えない出来栄えで、
演出家が本当の意味で2人の魅力を引き出せていない、
という苛立ちを感じました。
その点今回の作品では、
まさに本領以上のものをお二人が発揮していて、
これはもう相性の良さと、
山内ケンジさんの演出と脚本の素晴らしさだと、
惚れ溺れするような気分になりました。

欲を言えばラストはもう一ひねり欲しかったと言うか、
それまで隠されていた、
想定外の感情の発露のようなものが、
もっと明確な形で欲しかったな、
というようには感じましたが、
今回の作品は役者の魅力で充分成立しているので、
このくらいの匙加減がベストであったのかも知れません。

かなりアクの強い世界なので、
万人にお勧め出来る作品ではありませんが、
好きな方には極上の時間が約束されていることは間違いがなく、
お好きな方は是非この機会を、
逃さないようにして頂きたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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