コーヒーの成分の認知症予防効果

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
フェニルインダン.jpg
Frontiers in Neuroscience誌に、
2018年10月12日付で掲載された、
コーヒーの成分の認知症予防効果についての論文です。

コーヒーには多くの健康効果があることが報告されていて、
認知症などの神経疾患の予防効果もその1つです。

複数の疫学データにおいて、
アルツハイマー型認知症やパーキンソン病の予防効果が報告されていますが、
そのメカニズムの詳細は明らかではありません。
また飲む量が多いとリスクが高くなるというデータがあるなど、
糖尿病や肝疾患など、
他の病気の予防効果と比較すると、
その効果も明確ではない点があります。

コーヒーに認知症の予防効果があるとして、
最も関連があると想定される成分はカフェインです。
カフェインはコーヒーやお茶に含まれるアルカロイドで、
特にコーヒーの含有量が多いことが知られています。

ただ、カフェイン以外にも多くの生理活性物質が、
コーヒーには含まれていて、
その認知症への効果については、
明確なことが分かっていません。

コーヒーの特徴は焙煎の仕方によって、
その成分に変化が現れるということにあります。

浅煎りのコーヒーは酸味が強く、
それはクロロゲン酸という、
ポリフェノールの作用などによるものです。
そのクロロゲン酸は熱を加えると分解されるので、
他の物質が生成され、
そうして生成される物質の1つが、
フェニルインダンという成分です。
このフェニルインダンは苦み成分なので、
深煎りのコーヒーは苦いのです。

それでは焙煎により、
コーヒーの認知症予防効果は異なるのでしょうか?

今回の研究では、
浅煎りと深煎り、そしてデカフェの深煎りのインスタントコーヒーの抽出物、
そしてコーヒーの生理活性物質のうち、
カフェイン、クロロゲン酸、キナ酸、コーヒー酸、ケルセチン、
フェニルインダンの6成分のそれぞれの、
認知症予防に繋がる作用を検証しています。

アルツハイマー型認知症では、
まずアミロイドβという蛋白が沈着し、
その後タウ蛋白という蛋白の沈着が起こります。
アミロイドβもタウ蛋白も、
正常な状態であれば生成されても排泄されて沈着はしないのですが、
オリゴマー化と言って、複数の蛋白がくっついて大きくなり、
凝集して塊となることで、
排泄されなくなり溜まってしまうのです。
今回の研究では認知症の進行に密接に関連している、
アミロイドβとタウ蛋白のオリゴマー化と凝集の抑制効果を検証しています。

その結果、
浅煎りも深煎りのコーヒーも、
どちらもアミロイドβとタウ蛋白の凝集を抑制しましたが、
アミロイドβのオリゴマー化は、
深煎りコーヒーの抽出分がより強く抑制していました。

カフェインはアミロイドβとタウ蛋白の凝集を抑制しませんでした。
クロロゲン酸、カフェイン酸、ケルセチンは、
アミロイドβの凝集を抑制しましたが、
タウ蛋白の凝集は抑制しませんでした。
唯一フェニルインダンが、
アミロイドβとタウ蛋白の凝集を抑制すると共に、
アミロイドβのオリゴマー化も抑制していました。

このように、
今回の検証ではコーヒーの苦み成分であるフェニルインダンが、
強力な認知症予防に繋がる作用を持ち、
コーヒーの認知症予防効果の主体である可能性が示唆されました。

コーヒーにはまだまだ新しい健康硬化のある成分が、
隠れている可能性がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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