夜の明るさと心疾患リスク(2025年UKバイオバンク解析データ)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は事務作業などの予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
夜の明るさと心疾患リスク.jpg
JAMA Network Open 誌に2025年10月23日付で掲載された、
夜間の周囲の明るさが、
心臓病のリスクに与える影響についての論文です。

人間の身体には夜に寝て昼間に起きるという体内時計があり、
昼が明るく夜が暗いことが、
その体内時計の正常な調整に、
非常に重要であることが分かっています。

そのために、徹夜をすることは勿論ですが、
夜に照明を点けたままで寝ていたり、
テレビを点けたままで寝ていると、
それだけで体内時計を調整するホルモンなどの働きに、
影響を与えることが指摘されています。

心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(cardiovascular disease)は、
動脈硬化により心臓や脳の血管が障害を受け、
そこに血栓が詰まるなどして発症する病気の総称ですが、
その発症には多くの生活習慣の乱れが、
影響すると考えられています。

体内時計の乱れは、
脈拍の上昇や血圧の上昇、血栓傾向など、
心血管疾患の発症に結び付くような、
身体の変化をもたらす可能性があります。

それでは、実際に夜に光を浴びる量の多い人は、
心血管疾患になり易いのでしょうか?

今回の研究はイギリスの大規模な医療データである、
UKバイオバンクの住民データを活用して、
88905名の一般住民に1週間、ウェアラブルの光センサーを使用。
深夜の0時半から午前6時までの深夜帯の光の曝露量と、
その後の心血管疾患発症との関連を検証しています。

深夜に浴びる光の量を4つに分けて検証したところ、
夜間の光の曝露量が最も多い群は、少ない群と比較して、
狭心症などの虚血性心疾患のリスクが1.32倍(95%CI:1.18から1.46)、
心筋梗塞のリスクが1.47倍(95%CI:1.26から1.71)、
心不全のリスクが1.56倍(95%CI:1.34から1.81)、
心房細動のリスクが1.32倍(95%CI:1.18から1.46)、
脳卒中のリスクが1.28倍(95%CI:1.06から1.55)、
それぞれ有意に増加していました。

このように、実際に光センサーで測定した夜の明るさが、
心臓病などのリスクを増加させているという今回の結果は、
夜の光が当然のように使用されている現代社会において、
非常に示唆的なもので、
今後適正な睡眠環境はどうあるべきか、
より科学的な議論が行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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