尿中ヨウ素と慢性肝障害との関連
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

BMC Gastroenterology誌に2025年10月8日付で掲載された、
脂肪性肝疾患(脂肪肝)と尿中ヨウ素との関連についての論文です。
肝臓に中性脂肪が蓄積して肝臓が腫れる脂肪肝は、
健康診断や人間ドックで指摘されることの多い、
非常に一般的な病気の1つです。
肝機能障害を来す病気の中で、
ウイルス性肝炎やお酒の飲む過ぎによるアルコール性肝障害が、
これまで注目されることが多く、
脂肪肝もアルコール性によるものがリスクが高いと考えられていました。
ただ、最近になってお酒をあまり飲まない人でも、
脂肪肝で肝障害を来すことが多く、
そこから肝硬変や肝臓がんといった、
重篤な病気が増えることが分かって来ました。
脂肪肝は内臓脂肪の増加による、
所謂「メタボリックシンドローム」と関連が深く、
太り過ぎや高血圧、糖尿病などを合併することも多いことから、
これを一体のものと考え、
2020年から代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)という名称が、
国際的に使用されています。
肥満など多くの病態が、
MASLDのリスクであることが知られていますが、
最近注目されているのが、
脂肪肝と甲状腺機能低下症との関連です。
甲状腺ホルモンは身体の代謝を調節しているホルモンの1つですが、
その分泌が低下する甲状腺機能低下症と、
MASLDが関連しているという報告があります。
2018年のメタ解析の論文では、
MASLD(当時はNAFLD)のリスクを、
42%有意に増加させていました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30084737/
ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に必須の栄養素で、
海藻類などに多く含まれ、
昆布だしなどの伝統のある日本では、
ほぼほぼ不足することのない成分ですが、
世界的には土壌にヨウ素をあまり含まない内陸地域などで、
不足することも多いことが知られています。
ヨウ素の高度の不足は、
当然甲状腺機能低下症の原因となります。
それではヨウ素の摂取量とMASLDのような脂肪肝との間にも、
何らかの関連があるのでしょうか?
今回の研究は中国において、
食事のヨウ素の摂取量を反映すると想定される、
尿中ヨウ素濃度とMASLDとの関連を検証しているものです。
20歳以上で糖尿病に罹患していない。
1281名の一般住民を対象として、
尿中ヨウ素を測定し、
その値を低値(100μg/L未満)、正常値(100から299μg/L)、高値(300μg/L以上)の3群に分けて、
MASLDとの比較を行っています。
その結果、
尿中ヨウ素が高値であると、
正常群と比較してMASLDのリスクは43%(95%CI:0.37から0.86)、
有意に低下が認められました。
これはつまり、
ヨウ素の摂取量が多いと、
代謝性の脂肪肝になり難い、
ということを示唆しています。
その原因はおそらくは、
甲状腺機能低下症の、
リスクが低下したことにあるのではないか、
という推測です。
ただ、それなら甲状腺機能を測定した方がより直接的なので、
かなり回りくどい感じがすることも否めません。
また今後の検証を待ちたいと思いますが、
甲状腺機能と脂肪肝に関連があるという指摘は、
非常に興味深いものであることは確かで、
それが脂肪肝の予防に繋がることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
BMC Gastroenterology誌に2025年10月8日付で掲載された、
脂肪性肝疾患(脂肪肝)と尿中ヨウ素との関連についての論文です。
肝臓に中性脂肪が蓄積して肝臓が腫れる脂肪肝は、
健康診断や人間ドックで指摘されることの多い、
非常に一般的な病気の1つです。
肝機能障害を来す病気の中で、
ウイルス性肝炎やお酒の飲む過ぎによるアルコール性肝障害が、
これまで注目されることが多く、
脂肪肝もアルコール性によるものがリスクが高いと考えられていました。
ただ、最近になってお酒をあまり飲まない人でも、
脂肪肝で肝障害を来すことが多く、
そこから肝硬変や肝臓がんといった、
重篤な病気が増えることが分かって来ました。
脂肪肝は内臓脂肪の増加による、
所謂「メタボリックシンドローム」と関連が深く、
太り過ぎや高血圧、糖尿病などを合併することも多いことから、
これを一体のものと考え、
2020年から代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)という名称が、
国際的に使用されています。
肥満など多くの病態が、
MASLDのリスクであることが知られていますが、
最近注目されているのが、
脂肪肝と甲状腺機能低下症との関連です。
甲状腺ホルモンは身体の代謝を調節しているホルモンの1つですが、
その分泌が低下する甲状腺機能低下症と、
MASLDが関連しているという報告があります。
2018年のメタ解析の論文では、
MASLD(当時はNAFLD)のリスクを、
42%有意に増加させていました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30084737/
ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に必須の栄養素で、
海藻類などに多く含まれ、
昆布だしなどの伝統のある日本では、
ほぼほぼ不足することのない成分ですが、
世界的には土壌にヨウ素をあまり含まない内陸地域などで、
不足することも多いことが知られています。
ヨウ素の高度の不足は、
当然甲状腺機能低下症の原因となります。
それではヨウ素の摂取量とMASLDのような脂肪肝との間にも、
何らかの関連があるのでしょうか?
今回の研究は中国において、
食事のヨウ素の摂取量を反映すると想定される、
尿中ヨウ素濃度とMASLDとの関連を検証しているものです。
20歳以上で糖尿病に罹患していない。
1281名の一般住民を対象として、
尿中ヨウ素を測定し、
その値を低値(100μg/L未満)、正常値(100から299μg/L)、高値(300μg/L以上)の3群に分けて、
MASLDとの比較を行っています。
その結果、
尿中ヨウ素が高値であると、
正常群と比較してMASLDのリスクは43%(95%CI:0.37から0.86)、
有意に低下が認められました。
これはつまり、
ヨウ素の摂取量が多いと、
代謝性の脂肪肝になり難い、
ということを示唆しています。
その原因はおそらくは、
甲状腺機能低下症の、
リスクが低下したことにあるのではないか、
という推測です。
ただ、それなら甲状腺機能を測定した方がより直接的なので、
かなり回りくどい感じがすることも否めません。
また今後の検証を待ちたいと思いますが、
甲状腺機能と脂肪肝に関連があるという指摘は、
非常に興味深いものであることは確かで、
それが脂肪肝の予防に繋がることを期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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