カフェインの摂取量・代謝と睡眠習慣との関連(2025年メンデルのランダム化解析)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
カフェインの代謝と睡眠.jpg
Journal of Sleep Research誌に2025年7月14日付で掲載された、
カフェインの睡眠への影響についての論文です。

カフェインはコーヒーやお茶、
エナジードリンクや風邪薬などに、
広く含まれている生理活性物質で、
覚醒作用や神経保護作用、
強心作用や抗炎症作用、利尿作用など、
多彩な作用を持っています。

その中には健康に有用な作用もあり、
また有害性が指摘されているものもあります。

その中でも広く知られているカフェインの作用の1つが、
覚醒作用です。

つまり、眠気覚ましの作用です。

カフェインの覚醒作用は、
昼の眠気を軽減するという意味では、
眠気を振り払って何かをしなければいけない時には、
強い味方になる働きです。
昼の眠気が症状となる病気の治療に、
補助的に使用されることもあります。

ただ、その一方で夜に眠れなくなったり、
不眠症のある人ではそれが悪化するなど、
睡眠に対する悪影響も指摘されています。

カフェインの特徴はその代謝速度の速さにあります。
体内に入ったカフェインの95%以上は速やかに代謝され、
尿中には僅かな量しか排泄されません。
このカフェインの代謝は、
主に肝臓の代謝酵素により行われます。

カフェインの覚醒作用は、
カフェインの血液濃度に依存していると考えられていますから、
同じ量のカフェインを服用しても、
代謝の早い人ではその効果は短時間で消失するのに対して、
代謝の遅い人では、
その効果は長く続くと想定されます。

しかし、これまであまりそうした点を考慮して、
カフェインの睡眠への影響を解析したデータは、
存在していませんでした。

そこで今回の研究では、
これまでの睡眠に関連する症状やカフェイン代謝なとについての、
複数の研究データより、
遺伝子変異を含む個別データをまとめて解析し、
メンデルのランダム化解析という手法を用いて、
カフェイン摂取量や代謝速度と、
睡眠との因果関係を検証しています。

メンデルのランダム化解析というのは、
遺伝子の変異の型というのは、
無作為に生じるものなので、
それにより異なった現象が生じているとすれば、
因果関係に踏み込んだ解析が出来る、
という考え方を元に、
カフェイン摂取量やカフェイン代謝に関連する遺伝子変異と、
睡眠との関連を解析しているものです。

解析の結果、
カフェイン摂取量が増加すると、不眠ではなく、
昼の眠気が減少するという関連が認められました。
カフェインの代謝速度が速いことは、
昼寝のリスクの低下と関連していました。

その一方でカフェイン摂取量もその代謝速度も、
不眠や睡眠時間との明確な関連は示していませんでした。

今回の研究結果は現時点では解釈の難しいもので、
カフェイン摂取量は、
その覚醒作用から考えれば、
不眠や睡眠時間の短縮と関連しても良いところですが、
実際にはそうした関連は薄く、
昼の眠気の低下のみと関係していました。
また、カフェインの代謝速度が早ければ、
それだけカフェインの効果は減弱しそうですが、
今回の結果では代謝速度が速いほど、
昼寝が少なくなるという結果になっていました。

短期的にカフェインを摂取することが、
その後すぐの覚醒作用に結び付くことは、
多くの実験的研究で証明されている事実ですが、
カフェインを常用している場合の睡眠などへの影響は、
そう単純に言える性質のものではないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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