2型糖尿病における甲状腺ホルモン(T3)濃度低下の影響

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
FT3濃度と糖尿病神経障害との関連.jpg
the Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism,誌に、
2025年5月27日付で掲載された、
甲状腺機能と糖尿病との関連についての論文です。

甲状腺ホルモンには、
T3とT4という2種類があります。

この3と4の数字は、
ホルモンが含むヨードの数を示しています。

このうちホルモンとして働くのは専らT3で、
甲状腺から分泌されるホルモンは、
その8割がT4で残りの2割がT3です。

血液中に出たT4は、
そのうちの必要量が脱ヨード酵素の働きによって、
T3に変換されてホルモンとしての役割を果たすのです。

甲状腺機能低下症では、
T3とT4の双方が低下することが一般的ですが、
T4は正常範囲か高めであるのに、
T3のみが低いということがあります。

これは何等かの原因によって、
T4をT3に変換する酵素の活性が、
低下していることを示しています。

甲状腺機能が見掛け上正常であるのに、
T3だけが低値である場合、
これを低T3症候群と呼ぶことがあります。

低T3症候群は低栄養状態や抑うつ状態などの精神疾患、
癌や心筋梗塞などの身体疾患など、
幅広い病態で発生することが知られていて、
糖尿病もその1つと考えられています。

これまでにT3の低値と、
糖尿病の合併症である網膜症や神経症との間に、
一定の関連があるとする報告があります。

今回の研究は中国の単独施設において、
2型糖尿病で入院した患者トータル1422名を対象とし、
四肢の末梢神経の神経伝達速度など、
糖尿病性末梢神経障害の検査値と、
血液のT3の数値との関連を検証しているものです。

ここにおける血液中のT3濃度の基準値は、
2.5から7.0pmoL/Lに設定されています。
これは日本で通常行われている測定の単位である、
pg/mLに換算すると、
1.6275から4.557pg/mLに相当します。

ここで検査による糖尿病性末梢神経障害の診断と、
甲状腺ホルモンとの関連をみたところ、
神経障害のない患者さんのFT3濃度が4.39±0.63pmol/Lであったのに対して、
神経症のある患者さんでは4.08±0.64と有意に低くなっていて、
FT3濃度が3.9pmpl/L(2.5389pg/mL)未満であると、
糖尿病性末梢神経障害のリスクが高まることが確認されました。
また、逆にFT3濃度が4.3pmpl/L(2.7993pg/mL)を超えていると、
神経障害のリスクが低下することも確認されました。

このように、
今回の検証では糖尿病の合併症とFT3濃度との間に、
一定の関連があり、
今後T3濃度を上昇される方法や、
そのことが合併症の予防に繋がるかを含めて、
より臨床的な検証が成されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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