BMIと皮下脂肪率の生命予後への影響(2025年アメリカの疫学データ)
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

Annals of Family Medicine誌に2025年6月24日付で掲載された、
内臓脂肪や肥満の指標と生命予後との関連についての論文です。
過体重や肥満は、
糖尿病や高血圧、心臓病や脳卒中などのリスクを高め、
生命予後にも悪影響を与えることは、
これまでの多くの疫学データで実証されている事実です。
過体重や肥満の指標として、
科学的に最も広く使用されている指標は、
BMIという数値です。
BMIというのは、
キログラムで算出された体重を、
メートルで算出された身長で、
2回割って得られる数値です。
この数値が22から23くらいが標準体重と呼ばれ、
18.5から24.9が正常範囲、
25以上が過体重もしくは肥満というのが、
概ね世界的にも一致している指標です。
それ以外に内臓脂肪を反映する指標として、
メタボ検診に使われている「腹囲」と、
健康器具などで使用されている、
「体脂肪率」があります。
腹囲はお腹周りを測定するだけなので、
簡単に出来ることが何よりの利点です。
ただ、どの数値を超えると異常か、という点については、
まだ明確な指標がありません。
日本でメタボ検診に使われている指標は、
女性が90センチ以上で男性が85センチ以上と、
男性より女性の方が高く設定されているのですが、
国外のガイドラインは、
ほぼ全て女性より男性が高く設定されていて、
その数値もそれぞれ異なるなど、
その評価は一定していません。
体脂肪率は、
身体に微弱な電流を流して、
その反応で身体の脂肪の比率を測定するもので、
体重計などの健康器具に広く使用されています。
ただ、その科学的評価は、
まだあまりなされていません。
それでは生命予後(長生き)の指標として、
BMIと腹囲、体脂肪率の中で、
何が最も有効性の高い指標なのでしょうか?
今回の研究はアメリカの国民健康栄養調査のデータを活用して、
登録時に20から49歳の4252名の一般住民を対象に、
15年の観察期間における生命予後と、
BMIなどの指標との関連を検証しています。
BMIは25kg/m2以上を過体重もしくは肥満、
腹囲はアメリカの基準なので、
男性は40インチ(101.6センチ)以上が異常値、
女性が35インチ(88.9センチ)以上が異常値となり、
体脂肪率(インピーダンス法)は、
男性は27%以上、女性は44%以上が異常値、
という指標が採用されています。
その結果、
腹囲の異常値は総死亡のリスクを1.59倍(95%CI:1.12から2.26)、
心臓病による死亡のリスクを4.01倍(95%CI:1.94から8.27)、
それぞれ有意に増加させていました。
体脂肪率の異常値は総死亡のリスクを1.78倍(95%CI:1.28から2.47)、
心臓病による死亡のリスクを3.62倍(95%CI:1.55から8.45)、
こちらもそれぞれ有意に増加させていました。
その一方でBMIの異常値は、
総死亡のリスクとも心臓病での死亡のリスクとも、
有意な関連を認めていませんでした。
また癌による死亡のリスクについては、
3つの指標の異常値の全てと、
有意な関連を認めていませんでした。
今回の結果は意外なことに、
肥満の指標としてBMIを用いても、
総死亡リスクや心臓病による死亡のリスクとの関連が、
明確ではなかった一方で、
腹囲と体脂肪率については、
ほぼ同一の関連性が認められました。
つまり、長生きという観点から見ると、
体脂肪率や腹囲の方が、
その健康リスクを、
BMIよりも的確に判断していた、
と言う結果です。
ただ、この結果はBMIが役に立たないという意味ではなく、
また解析の仕方を変えれば、
別の結果が出る可能性は充分にあります。
つまり、これはどのような指標を用いても、
1つの指標のみで肥満の健康リスクを推計するのには充分ではない、
ということを示していると考えるべきで、
今後どのような指標の組み合わせが、
より肥満の健康リスクを正確に判断出来るのか、
その点の検証に繋げる必要があるとのだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Annals of Family Medicine誌に2025年6月24日付で掲載された、
内臓脂肪や肥満の指標と生命予後との関連についての論文です。
過体重や肥満は、
糖尿病や高血圧、心臓病や脳卒中などのリスクを高め、
生命予後にも悪影響を与えることは、
これまでの多くの疫学データで実証されている事実です。
過体重や肥満の指標として、
科学的に最も広く使用されている指標は、
BMIという数値です。
BMIというのは、
キログラムで算出された体重を、
メートルで算出された身長で、
2回割って得られる数値です。
この数値が22から23くらいが標準体重と呼ばれ、
18.5から24.9が正常範囲、
25以上が過体重もしくは肥満というのが、
概ね世界的にも一致している指標です。
それ以外に内臓脂肪を反映する指標として、
メタボ検診に使われている「腹囲」と、
健康器具などで使用されている、
「体脂肪率」があります。
腹囲はお腹周りを測定するだけなので、
簡単に出来ることが何よりの利点です。
ただ、どの数値を超えると異常か、という点については、
まだ明確な指標がありません。
日本でメタボ検診に使われている指標は、
女性が90センチ以上で男性が85センチ以上と、
男性より女性の方が高く設定されているのですが、
国外のガイドラインは、
ほぼ全て女性より男性が高く設定されていて、
その数値もそれぞれ異なるなど、
その評価は一定していません。
体脂肪率は、
身体に微弱な電流を流して、
その反応で身体の脂肪の比率を測定するもので、
体重計などの健康器具に広く使用されています。
ただ、その科学的評価は、
まだあまりなされていません。
それでは生命予後(長生き)の指標として、
BMIと腹囲、体脂肪率の中で、
何が最も有効性の高い指標なのでしょうか?
今回の研究はアメリカの国民健康栄養調査のデータを活用して、
登録時に20から49歳の4252名の一般住民を対象に、
15年の観察期間における生命予後と、
BMIなどの指標との関連を検証しています。
BMIは25kg/m2以上を過体重もしくは肥満、
腹囲はアメリカの基準なので、
男性は40インチ(101.6センチ)以上が異常値、
女性が35インチ(88.9センチ)以上が異常値となり、
体脂肪率(インピーダンス法)は、
男性は27%以上、女性は44%以上が異常値、
という指標が採用されています。
その結果、
腹囲の異常値は総死亡のリスクを1.59倍(95%CI:1.12から2.26)、
心臓病による死亡のリスクを4.01倍(95%CI:1.94から8.27)、
それぞれ有意に増加させていました。
体脂肪率の異常値は総死亡のリスクを1.78倍(95%CI:1.28から2.47)、
心臓病による死亡のリスクを3.62倍(95%CI:1.55から8.45)、
こちらもそれぞれ有意に増加させていました。
その一方でBMIの異常値は、
総死亡のリスクとも心臓病での死亡のリスクとも、
有意な関連を認めていませんでした。
また癌による死亡のリスクについては、
3つの指標の異常値の全てと、
有意な関連を認めていませんでした。
今回の結果は意外なことに、
肥満の指標としてBMIを用いても、
総死亡リスクや心臓病による死亡のリスクとの関連が、
明確ではなかった一方で、
腹囲と体脂肪率については、
ほぼ同一の関連性が認められました。
つまり、長生きという観点から見ると、
体脂肪率や腹囲の方が、
その健康リスクを、
BMIよりも的確に判断していた、
と言う結果です。
ただ、この結果はBMIが役に立たないという意味ではなく、
また解析の仕方を変えれば、
別の結果が出る可能性は充分にあります。
つまり、これはどのような指標を用いても、
1つの指標のみで肥満の健康リスクを推計するのには充分ではない、
ということを示していると考えるべきで、
今後どのような指標の組み合わせが、
より肥満の健康リスクを正確に判断出来るのか、
その点の検証に繋げる必要があるとのだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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