「ルノワール」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ルノワール.jpg
「PLAN75」の印象も鮮烈な早川千絵監督の第2作「ルノワール」が、
今ロードショー公開されています。

油断していたら、
もう上映回数も少なくなっていたので、
慌てて映画館に足を運びました。

「PLAN75」は近未来を舞台にして、
河瀨直美監督を思わせるような映像表現でしたが、
今回は1987年を舞台にして、
相米慎二監督の「お引越し」(1993年)や
根岸吉太郎監督の「ウホッホ探検隊」(1986年)みたいな雰囲気の、
昔懐かしいATGの家族映画のような作品でした。

早川監督もどうやら藤井道人監督のように、
典型的映画マニアで、
過去作を尊重しつつ、
色々なスタイルで映画を再創造する、
というタイプの映画作家であるようです。

これは個人的にはとても良かったですよ。

何故今1980年代の家庭劇を…
という疑問はどうしてもあるのですが、
それを置いておけば、
非常に完成度の高い、
如何にも日本映画らしい日本映画で、
主役に新人の女の子を持ってくるのは、
こうした作品の常道ですが、
フレッシュな演技がとても良かったですし、
脇を固めるキャストも、
「この役は絶対この人!!」という、
監督の拘りが聞こえて来るようなベストキャストで、
全てのキャストが、
その期待に応えた印象的な演技をしていました。

物語はおそらく監督の実体験にある程度裏打ちされた、
少女が大人になる時間を、
「身近な死を理解する」という1点に絞って、
幻想的かつ感性豊かに繊細に描いてゆきます。

父の迫り来る死への恐怖を、
11歳の娘の感性が受け止め、
それが幻想を取り込んで、
異界への扉を開いて行きます。

現実と幻想をない交ぜにしながら、
現実にあり得ない描写や映像は、
絶対に表現しない、という辺りに、
作り手の矜持が感じられ、
抑制の効いた描写が、
繊細な抒情を立ち上らせて行くのです。

80年代くらいの日本映画のお好きな方には、
是非にとお勧めしたいなかなかの傑作で、
「PLAN75」みたいな社会派のとんがったものを、
と期待した方には肩透かしであったと思いますが、
早川監督はかなり全方位的な映画作家だと思うので、
これは先入観なく向かい合うのが吉だと思いますし、
個人的には次の作品が今からとても楽しみです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

この記事へのコメント