ガバペンチンの認知症リスク

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ガバペンチンの認知症リスク.jpg
Regional Anesthesia & Pain Medicine誌に、
2025年7月10日付で掲載された、
慢性疼痛の治療薬の認知機能低下リスクについての論文です。

ガバペンチン(ガバペン)は、
比較的新しく創薬された抗痙攣剤ですが、
帯状疱疹の後の神経痛など、
末梢神経が障害されることによる痛みに効果のあることが明らかになり、
てんかんよりもこうした慢性疼痛に対する治療薬として、
その有効性が評価されています。
プレガバリン(リリカ)は、
ガバペンチン由来の化合物で、
疼痛などに対する作用をより強化したとされ、
抗痙攣剤としてではなく、
もっぱら慢性疼痛の治療薬としてその使用がなされています。

日本における保険適応は、
ガバペンはてんかんに限られていますが、
ヨーロッパでは広く末梢神経障害性疼痛に適応が認められています。

プレガバリンは末梢神経障害性疼痛の治療薬として、
日本を含む世界各国で広く使用されています。
またヨーロッパでは全般性不安障害の治療薬として、
アメリカや日本では線維筋痛症の治療薬として、
適応が認められています。

ガバペンチンの関連薬は、
今世界的にその使用が拡大している薬剤です。

日本においてもそれは同様で、
原因の分からない慢性の痛みに対しては、
整形外科においても内科においても、
かなり気軽に処方されているという印象があります。

しかし、このタイプの薬剤は元々抗痙攣剤で、
眩暈や意識レベルの低下、眠気や認知機能低下など、
多くの有害事象が報告されていることも事実です。

ただ、実際にどの程度そうした影響があるのかについては、
それほど明確な知見が得られていません。

今回の研究はアメリカにおいて、
TriNetXという匿名化された医療情報を持つ、
グローバルネットワークのデータベースを活用して、
ガバペンチンの処方と認知機能との関連を検証しているものです。

トータルで26416名の一般住民を対象として解析したところ、
ガバペンチンを6回以上処方された人は、
処方のない人と比較して、
認知症を発症するリスクが1.29倍(95%CI:1.18から1.40)、
認知症の前段階と考えられる軽度認知障害のリスクが、
1.85倍(95%CI:1.63から2.10)、
それぞれ有意に増加していました。
特に18から64歳の若年層でのリスク上昇が高く、
その年齢層では、
認知症のリスクは2.10倍(95%CI:1.75から2.51)、
軽度認知障害のリスクは2.50倍(95%CI:2.04 から3.05)、
のリスク増加が認められました。

このように、
ガバペンチンの処方はその処方回数が多いほど、
認知機能低下のリスク上昇と関連していて、
特に64歳以下の若年層において、
その傾向が強く認められました。

この現象の明確な位置づけはまだ不明ですが、
そのメカニズムの探求を含めて、
今後の研究の進捗に期待をしたいと思いますし、
ガバペンチンやプレガバリンを長期処方されている患者さんについては、
認知機能についての継続的なフォローが、
今後は重要であるように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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