ワジディ・ムワワド「みんな鳥になって」(2025年上村聡史演出版)
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。

レバノン出身で欧米で活躍する劇作家、
ワジディ・ムワワドさんの2017年の戯曲が、
これまで3つのムワワド戯曲を上演している、
上村聡史さんの演出で、
今世田谷パブリックシアターで上演されています。
このシリーズは、
2018年に上演された「岸リトラル」と、
2021年に上演された「森フォレ」の2作品を観ています。
「岸リトラル」はその良さが、
鑑賞時にはさっぱり分からなかったのですが、
「森フォレ」は8から9世紀に渡り、
100人以上の登場人物が登場するという、
スケールの大きなロマネスク的大作で、
その豊饒な物語性には魅せられましたし、
キャストも演出も素晴らしい傑作でした。
個人的には文句なくその時のベストプレイです。
それで今回はとても期待はしている一方で、
僕には向いていない可能性もあるかしらと、
不安も感じながら鑑賞しました。
ムワワドさんのお芝居は、
鑑賞に集中力を要するので、
その時の体調によっても、
印象は違ってしまうのです。
今回の作品はこれまで観た2作品と比べると、
かなりシンプルで分かり易い構成でした。
パレスチナとイスラエルの対立の歴史が軸となっていて、
父と子、孫と3代に渡る血の因縁が、
悲劇に至るという物語。
過去にきちんと責任を取らず、
その時は良かれと思ってした隠し事が、
結果として大きな悲劇の種になるという構造には、
日本の社会の問題に通底するものがあり、
それが今回この作品の上演が選ばれた理由であるように感じました。
中島裕翔さん演じる青年が主役ですが、
実際には語り部的ポジションで、
相島一之さん演じる父と、
岡村健一さん演じる息子との葛藤と悲劇が、
物語の主軸になっています。
キャストは皆熱のこもった好演でしたが、
特に今回は相島一之さんが素晴らしく、
相島さんの代表作になりうる演技であったと思います。
正直ムワワドさんの作品としては、
「森フォレ」の方が好きで、
その出自の問題だけで、
パレスチナ問題を語るというのは、
何か少し単純過ぎるような気がしますし、
ラストのまとめも、
自由な鳥の話で少し胡麻化したな、
という感じが否めませんでした。
ただ、日本の演劇ではとても成し得ないような、
正攻法の骨太で壮大な作品であることは確かで、
非常に意義のある上演だと思いますし、
演劇の凄みを感じさせる大作として、
演劇好きには是非にお勧めしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
レバノン出身で欧米で活躍する劇作家、
ワジディ・ムワワドさんの2017年の戯曲が、
これまで3つのムワワド戯曲を上演している、
上村聡史さんの演出で、
今世田谷パブリックシアターで上演されています。
このシリーズは、
2018年に上演された「岸リトラル」と、
2021年に上演された「森フォレ」の2作品を観ています。
「岸リトラル」はその良さが、
鑑賞時にはさっぱり分からなかったのですが、
「森フォレ」は8から9世紀に渡り、
100人以上の登場人物が登場するという、
スケールの大きなロマネスク的大作で、
その豊饒な物語性には魅せられましたし、
キャストも演出も素晴らしい傑作でした。
個人的には文句なくその時のベストプレイです。
それで今回はとても期待はしている一方で、
僕には向いていない可能性もあるかしらと、
不安も感じながら鑑賞しました。
ムワワドさんのお芝居は、
鑑賞に集中力を要するので、
その時の体調によっても、
印象は違ってしまうのです。
今回の作品はこれまで観た2作品と比べると、
かなりシンプルで分かり易い構成でした。
パレスチナとイスラエルの対立の歴史が軸となっていて、
父と子、孫と3代に渡る血の因縁が、
悲劇に至るという物語。
過去にきちんと責任を取らず、
その時は良かれと思ってした隠し事が、
結果として大きな悲劇の種になるという構造には、
日本の社会の問題に通底するものがあり、
それが今回この作品の上演が選ばれた理由であるように感じました。
中島裕翔さん演じる青年が主役ですが、
実際には語り部的ポジションで、
相島一之さん演じる父と、
岡村健一さん演じる息子との葛藤と悲劇が、
物語の主軸になっています。
キャストは皆熱のこもった好演でしたが、
特に今回は相島一之さんが素晴らしく、
相島さんの代表作になりうる演技であったと思います。
正直ムワワドさんの作品としては、
「森フォレ」の方が好きで、
その出自の問題だけで、
パレスチナ問題を語るというのは、
何か少し単純過ぎるような気がしますし、
ラストのまとめも、
自由な鳥の話で少し胡麻化したな、
という感じが否めませんでした。
ただ、日本の演劇ではとても成し得ないような、
正攻法の骨太で壮大な作品であることは確かで、
非常に意義のある上演だと思いますし、
演劇の凄みを感じさせる大作として、
演劇好きには是非にお勧めしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
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