ピロリ菌が認知症予防に有効?
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などで都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

Science Advances誌に2025年6月11日付で掲載された、
ピロリ菌の産生する毒素の性質について解析した論文です。
ヘリコバクター・ピロリ菌は、
人間などの哺乳類の胃の中に生息している細菌で、
その持続的な感染が成人では、
胃十二指腸潰瘍や胃癌、
一部の血液系の癌のリスクになることが分かっています。
その感染は通常口から、
乳幼児期から学童くらいに成立することが多い、
と考えられています。
ピロリ菌はCagAと呼ばれる毒素を産生し、
それを胃粘膜などの細胞の中に注入します。
このCagAが炎症性の物質(サイトカイン)などを誘導し、
それが胃の粘膜の炎症などの原因になっています。
この毒素CagAは、
感染した細胞のみならず、
離れた臓器などにも影響を与えることが、
近年の研究により明らかとなっています。
ピロリ菌は腸内細菌の組成などを、
改変する能力があると考えられています。
その一部は毒素CagAが、
他の細菌の増殖を抑えるような働きを持っていることが、
そのメカニズムである可能性があります。
今回の研究では、
細胞レベルの実験により、
CagAがどのようなメカニズムで、
他の細菌に影響を与えるのかを検証しています。
その結果、
ピロリ菌はCagAを介して、
アミロイドの凝集を強く抑制する作用のあることが確認されました。
アミロイドというのは、
特殊な構造を持った蛋白質の総称で、
脳へのアミロイドβの沈着がアルツハイマー病の原因となったり、
膵臓へのアミロイドの沈着が糖尿病の原因となるなど、
多くの病気の原因となる物質です。
大腸菌や緑膿菌などの細菌は、
このアミロイドを産生することで、
他の細菌や免疫細胞などの外敵から、
身を守るような働きがあります。
ピロリ菌はCagAを利用して、
アミロイドの形成を阻止し、
他の細菌などの増殖を抑えているのです。
それでは、
人間の病気の原因となるようなアミロイドの沈着も、
CagAは防ぐことが出来るのでしょうか?
今回の研究では、
アルツハイマー病の原因とされてる、
アミロイドβの凝集をCagAが強く阻害することを、
細胞レベルの実験で確認しています。
これはまだ細胞実験レベルの知見に過ぎませんが、
細菌が産生するタンパク質が、
認知症などの病気に関わる、
アミロイドの沈着を強力の阻害する、
という現象は非常に興味深く、
今後その臨床的な利用の可能性を含めて、
より臨床に近付いた研究の進捗に期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などで都内を廻る予定です。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
Science Advances誌に2025年6月11日付で掲載された、
ピロリ菌の産生する毒素の性質について解析した論文です。
ヘリコバクター・ピロリ菌は、
人間などの哺乳類の胃の中に生息している細菌で、
その持続的な感染が成人では、
胃十二指腸潰瘍や胃癌、
一部の血液系の癌のリスクになることが分かっています。
その感染は通常口から、
乳幼児期から学童くらいに成立することが多い、
と考えられています。
ピロリ菌はCagAと呼ばれる毒素を産生し、
それを胃粘膜などの細胞の中に注入します。
このCagAが炎症性の物質(サイトカイン)などを誘導し、
それが胃の粘膜の炎症などの原因になっています。
この毒素CagAは、
感染した細胞のみならず、
離れた臓器などにも影響を与えることが、
近年の研究により明らかとなっています。
ピロリ菌は腸内細菌の組成などを、
改変する能力があると考えられています。
その一部は毒素CagAが、
他の細菌の増殖を抑えるような働きを持っていることが、
そのメカニズムである可能性があります。
今回の研究では、
細胞レベルの実験により、
CagAがどのようなメカニズムで、
他の細菌に影響を与えるのかを検証しています。
その結果、
ピロリ菌はCagAを介して、
アミロイドの凝集を強く抑制する作用のあることが確認されました。
アミロイドというのは、
特殊な構造を持った蛋白質の総称で、
脳へのアミロイドβの沈着がアルツハイマー病の原因となったり、
膵臓へのアミロイドの沈着が糖尿病の原因となるなど、
多くの病気の原因となる物質です。
大腸菌や緑膿菌などの細菌は、
このアミロイドを産生することで、
他の細菌や免疫細胞などの外敵から、
身を守るような働きがあります。
ピロリ菌はCagAを利用して、
アミロイドの形成を阻止し、
他の細菌などの増殖を抑えているのです。
それでは、
人間の病気の原因となるようなアミロイドの沈着も、
CagAは防ぐことが出来るのでしょうか?
今回の研究では、
アルツハイマー病の原因とされてる、
アミロイドβの凝集をCagAが強く阻害することを、
細胞レベルの実験で確認しています。
これはまだ細胞実験レベルの知見に過ぎませんが、
細菌が産生するタンパク質が、
認知症などの病気に関わる、
アミロイドの沈着を強力の阻害する、
という現象は非常に興味深く、
今後その臨床的な利用の可能性を含めて、
より臨床に近付いた研究の進捗に期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
この記事へのコメント
現在は3年前に発症した筋痛性脳脊髄炎(ME/CFS、旧称 慢性疲労症候群)で、県内の医師たちからは「そんな病気は知らないから存在しない」と相手にされない地獄におります(遠隔地のオンライン診療にて専門医と繋がっています)。
なお、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能低下症を併発している患者で幼少期に虐待を受けているケースでは、潜在的に複雑性PTSDを抱えた上でHPA軸の関係でME/CFSの発症に至るケースが散見されます。
女性ではピロリ関連消化性潰瘍疾患にME/CFSが続発するリスクが高いという文献がありました。
ピロリと脳に何かあるのでしょうか。ME/CFSはミクログリアM1の過剰活性による脳内炎症によると判明しております。
https://www.frontiersin.org/journals/immunology/articles/10.3389/fimmu.2021.628741/full?trk=public_post_comment-text