溶連菌感染症の抗菌薬治療期間とその効果(2025年ニュージーランドの疫学データ)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
溶連菌感染症の治療.jpg
Open Forum Infectious Diseases誌に2025年6月6日付で掲載された、
咽頭炎や扁桃炎を起こす感染症の、
治療についての論文です。

溶連菌(A群溶連菌)という細菌の感染症は、
所謂「咽喉の風邪」の中で、
唯一抗生物質の治療が推奨されている病気です。

これは溶連菌の感染症が、
周囲への感染の拡大が起こり易く、
またリウマチ熱や溶連菌感染後腎炎のような、
咽喉以外の合併症の原因となるからです。
ただ、抗生物質の治療により、
合併症が防げるのか、という点については、
多くの議論があり確定的なものではありません。

溶連菌が咽喉に除菌されずに残ってしまうと、
家族内などで感染が繰り返されることになります。

そのため、
現行の日本を含む多くのガイドラインにおいては、
溶連菌による咽頭炎や扁桃炎に対して、
薬物アレルギーなどがなければ、
抗生物質のペニシリンによる抗菌治療を、
概ね10日間継続することが推奨されています。

ただ、近年抗菌剤の使用を最小限にしよう、
という医療の流れもあって、
溶連菌の抗菌治療をより短い、
5から7日という短期間で終わらせる、
という方法が試みられています。
幾つかの臨床試験などのデータが発表されていますが、
10日の治療と有効性は変わらないという報告がある一方で、
除菌率の低下が認められた、
というような報告もあって、
その結果は必ずしも一致していません。

そこで今回の研究では、ニュージーランドにおいて、
抗菌薬の投与期間が使用適正化で短縮されたことを利用して、
投与期間短縮前後の除菌率などを比較することで、
短期間の溶連菌除菌治療の有効性を検証しています。

その結果、
抗菌薬の使用期間を10日から5から7日に短縮しても、
除菌治療の有効性には明確な差は認められませんでした。

こうしたデータの蓄積により、
今後はガイドラインにおいても、
より短期間の溶連菌除菌治療が、
推奨される流れになるかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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