高血圧の治療と腎臓がんリスク(2025年メタ解析)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石原が外来を担当。
午後は臨時で休診となります。
受診予定の方はご注意下さい。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
腎臓がんと降圧剤.jpg
BMC Cancer誌に2025年6月6日付でウェブ掲載された、
降圧剤の使用と腎臓がんリスクとの関係についての論文です。

腎臓がん(腎細胞がん)は、
腎臓の細胞由来の悪性腫瘍で、
上記文献の記載によれば、
世界中で14番目に多いがんで、
2022年には434419例が診断されています。

世界的に近年急増しているがんの1つとして知られていて、
日本においてもその傾向は顕著に認められています。

有効な検診は確立されておらず、
初期には特に症状のないことが多いので、
早期発見が少なく、
進行してから発見されることの多いがんとしても知られています。

そのため生命予後も悪く、
日本の国立がん研究センターの統計では、
トータルの5年生存率は75.1%ですが、
Ⅳ期の進行がんでは17.2%という低率になっています。

高血圧は腎臓がんのリスクとして知られています。

このことからは、
高血圧症を降圧剤で治療することにより、
腎臓がんのリスクも低下すると想定されますが、
実際には降圧剤によっては、
その使用がむしろ腎臓がんのリスクを増加させる、
という報告が、近年多く発表されて注目されています。

今回の研究は、
これまでの主だった臨床研究のデータをまとめて解析する、
メタ解析の手法でこの問題の検証を行っているものです。

これまでの39の観察研究に含まれる患者データをまとめて解析し、
高血圧自体の影響を補正して検証したところ、
多くの降圧剤の使用と腎臓がんリスクとの間に関連が認められました。

具体的には、
トータルな降圧剤の使用は、
未使用と比較して1.40倍(95%CI:1.13から1.75)、
カルシウム拮抗薬の使用は1.40倍(95%CI:1.12から1.75)、
利尿剤の使用は1.36倍(95%CI: 1.20から1.55)、
β遮断剤の使用は1.09倍(95%CI: 1.03から1.16)、
それぞれ有意に腎臓がんのリスクを増加させていました。

その一方で、
ACE阻害剤には有意な腎臓がんリスクの増加は確認されず、
同系統の薬であるARBでは、
1.15倍(95%CI; 1.00から1.31)とリスク増加は僅かに留まっていました。

このように、
降圧剤の種類によって、
腎臓がんリスクに違いが見られる、
という点は非常に興味深く、
今後そのメカニズムを含めた、
詳細な検証に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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