コーヒーの生命予後改善効果(2025年アメリカの疫学データ)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと死亡リスク(2025).jpg
The Journal of Nutrition誌に2025年5月12日付でウェブ掲載された、
コーヒーの生命予後に対する効果を検証した論文です。

コーヒーの健康効果や死亡リスクを低下させる効果については、
ほぼ確立されたものと言って良いと思います。

これまでの多くの疫学研究において、
日本を含む世界中で、
同様のデータが得られているからです。

ただ、コーヒーの飲み方やその成分によって、
健康効果に違いがあるかという点については、
まだ信頼のおけるデータは限られています。

コーヒーには多くの生理活性物質が含まれていますが、
カフェインはその代表的な成分の1つです。
ただ、カフェインには常用性があり、
交感神経刺激作用など、
心臓に負担を掛ける可能性も指摘されています。

そのため、カフェインを除去した、
デカフェのコーヒーも流通しています。

しかし、コーヒーの健康効果は、
デカフェでも変わらないという報告がある一方で、
カフェイン入りのコーヒーのみで認められた、
という報告もあって、
その影響は一定していません。

また、コーヒーの飲み方は様々で、
ブラック以外に、
砂糖やミルクなど乳製品を入れて飲む人も多いのですが、
そうした添加物はカロリーの高いものも多く、
それがコーヒーの健康効果に与える影響も、
明確にはなっていません。

そこで今回の研究では、
アメリカの国民健康調査の大規模データを活用して、
コーヒーの飲み方や成分と、
死亡リスクとの関連を検証しています。

対象は20歳以上の46332名の一般住民で、
中央値で9.3から11.3年の長期の経過観察が施行されています。

その結果コーヒーを飲まない人と比較して、
1日1から2杯飲む習慣のある人は16%(95%CI:0.77から0.92)、
2から3杯飲む人は17%(95%CI:0.75から0.93)、
3杯以上飲む人は15%(95%CI:0.77から0.95)、
総死亡のリスクがそれぞれ有意に低下していました。

死亡原因での解析では、
動脈硬化などに関連する心血管疾患による死亡リスクは、
総死亡と同様に低下していましたが、
癌による死亡のリスクについては、
有意な低下は認められませんでした。

ここまではこれまで報告されたデータとほぼ一致しています。

コーヒーをカフェイン入りとデカフェで比較すると、
コーヒーによる死亡リスクの低下は有意ではなくなりました。
またブラックコーヒーと、
砂糖や乳製品を少なく使用したコーヒーでは、
死亡リスクの低下は認められましたが、
砂糖や乳製品を多く含むコーヒーでは、
そうした関連は有意ではありませんでした。

つまり、
今回の大規模な検証においては、
コーヒーの総死亡リスクに対する効果は、
主にカフェイン入りのブラックコーヒーで認められ、
デカフェのコーヒーや、
砂糖、乳製品を多く含むコーヒーでは、
その効果は低いという結果になっています。

これはまだ確定的なものではありませんが、
最近発表されたデータの多くにおいては、
コーヒーはカフェイン入りでブラックで飲むことが、
健康効果を最大化する、
という傾向が認められているようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

この記事へのコメント