飲酒の膵癌リスク
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

PLOS Medicine誌に2025年5月20日付で掲載された、
アルコールの膵癌リスクについての論文です。
膵臓癌はがんの中でも予後の悪いことで知られ、
検診などでも早期発見が難しいこともよく指摘をされています。
膵臓癌も他のがんと同じように、
遺伝的な素因と環境因子が合わさって、
発症すると考えられています。
その生活習慣的なリスクとして、
ほぼ確実と考えられているのは、
喫煙、慢性膵炎、内臓脂肪の増加、糖尿病などですが、
アルコールの摂取も、
膵癌リスクとして記載されていることがあります。
ただ、実際にどのくらいの量のアルコールを摂取すると、
どのくらい膵癌のリスクが増加するのか、
と言うような点については、
あまり信頼のおけるデータが存在していませんでした。
そこで今回の研究では、
欧米、アジア、オーストラリアで施行された、
30の疫学研究のデータに含まれる、
登録の時点で癌の診断がされていない、
トータル2494432名の一般住民(年齢の中間値57歳)を、
中間値で16年という長期観察し、
聞き取りによる飲酒量と、
膵癌の発症との関連を比較検証しています。
その結果、
観察期間中に10067件の膵臓癌が診断され、
1日0.1から5グラム未満の飲酒量と比較して、
飲酒量がアルコール換算で1日10グラム増加する毎に、
膵癌のリスクは3%(95%CI:1.02から1.04)、
有意に増加することが確認されました。
1日30グラムから60グラム未満のアルコール摂取
(日本酒1.5合から3合くらい)では、
膵癌リスクは12%(95%CI:1.03から1.21)、
1日60グラム以上の多量飲酒では、
膵癌リスクは32%(95%CI: 1.18から1.47)、
それぞれ有意に増加していました。
このアルコール摂取に伴う膵癌リスクの増加は、
喫煙や性別に関連なく認められましたが、
男性が1日30グラム以上で有意な上昇であったのに対して、
女性は1日15グラムとより少ない量のアルコールにおいても、
有意な膵癌リスクの増加が認められていました。
このように、
飲酒は少ない量でも膵癌のリスクを、
若干ながら引き上げ、
そのリスク増加は女性では1日15グラム、
男性では1日30グラムから明確になっていました。
今はガイドラインから外れていますが、
以前の日本のガイドラインでは、
適正飲酒は1日23グラム(1合)程度まで、
とされていて、
その適量を守ることは、
膵癌の予防のためにも有効であると、
そう考えておいて良いようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

PLOS Medicine誌に2025年5月20日付で掲載された、
アルコールの膵癌リスクについての論文です。
膵臓癌はがんの中でも予後の悪いことで知られ、
検診などでも早期発見が難しいこともよく指摘をされています。
膵臓癌も他のがんと同じように、
遺伝的な素因と環境因子が合わさって、
発症すると考えられています。
その生活習慣的なリスクとして、
ほぼ確実と考えられているのは、
喫煙、慢性膵炎、内臓脂肪の増加、糖尿病などですが、
アルコールの摂取も、
膵癌リスクとして記載されていることがあります。
ただ、実際にどのくらいの量のアルコールを摂取すると、
どのくらい膵癌のリスクが増加するのか、
と言うような点については、
あまり信頼のおけるデータが存在していませんでした。
そこで今回の研究では、
欧米、アジア、オーストラリアで施行された、
30の疫学研究のデータに含まれる、
登録の時点で癌の診断がされていない、
トータル2494432名の一般住民(年齢の中間値57歳)を、
中間値で16年という長期観察し、
聞き取りによる飲酒量と、
膵癌の発症との関連を比較検証しています。
その結果、
観察期間中に10067件の膵臓癌が診断され、
1日0.1から5グラム未満の飲酒量と比較して、
飲酒量がアルコール換算で1日10グラム増加する毎に、
膵癌のリスクは3%(95%CI:1.02から1.04)、
有意に増加することが確認されました。
1日30グラムから60グラム未満のアルコール摂取
(日本酒1.5合から3合くらい)では、
膵癌リスクは12%(95%CI:1.03から1.21)、
1日60グラム以上の多量飲酒では、
膵癌リスクは32%(95%CI: 1.18から1.47)、
それぞれ有意に増加していました。
このアルコール摂取に伴う膵癌リスクの増加は、
喫煙や性別に関連なく認められましたが、
男性が1日30グラム以上で有意な上昇であったのに対して、
女性は1日15グラムとより少ない量のアルコールにおいても、
有意な膵癌リスクの増加が認められていました。
このように、
飲酒は少ない量でも膵癌のリスクを、
若干ながら引き上げ、
そのリスク増加は女性では1日15グラム、
男性では1日30グラムから明確になっていました。
今はガイドラインから外れていますが、
以前の日本のガイドラインでは、
適正飲酒は1日23グラム(1合)程度まで、
とされていて、
その適量を守ることは、
膵癌の予防のためにも有効であると、
そう考えておいて良いようです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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