「ガール・ウィズ・ニードル」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前中は石田医師が、
午後2時以降は石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ガールウィズニードル.jpg
2024年のデンマーク、ポーランドなどの合作映画で、
スウェーデン出身のマグヌス・フォン・ホーン監督がメガホンを取り、
第一次大戦から戦後に掛けてのデンマークを舞台とした作品です。

基本的には地味な公開の映画ですが、
公開初めのみ新宿ピカデリーでの上映があったので、
予告編で興味を持って映画館に足を運びました。

ミニシアターの魅力も勿論ないではないのですが、
映画館はシネコンの方が観易いので、
可能であればそちらに足を運びます。

実際にデンマークであった、
嬰児殺しの事件をモチーフにしたものですが、
戦争で夫が行方不明となり、
自宅のアパートも退去させられた女主人公が、
コペンハーゲンで、
地獄巡りのような壮絶な体験をするという、
ロマネスク的な物語になっていて、
モノクロスタンダードで意図的に古風な映画のスタイルを取り、
外連味も随所に交えた、
娯楽性のある物語になっています。

まあ、ハリウッド製でも最近時々ある、
過去の物語を現代の視点でリクリエーションしよう、
という、擬古典的なスタイルですが、
さすがヨーロッパ映画で、
描写の奥行は深いものになっていますし、
ハリウッド製に比べると、
現代視点の入れ方も、
比較的控え目になっています。

主眼はおそらく、
子どもを本意ならずも殺そうとする、
母親の心理の描写にあって、
これはあまり映画では描かれることの、
少ないものではないかと思います。

その一方で、
戦争中に顔に酷い傷を負い、
サーカスの見世物小屋で生活する、
主人公の夫の描写は、
1920から30年代のホラー映画のスタイルで撮られていて、
勿論今の映画なので、
モンスターのようには描かれてはいないのですが、
スタイルは明らかにホラーのもので、
仮面の奥から何かが露わになるという、
ホラーの定番のアンマスクシーンも用意されているので、
そこがちょっと真面目なテーマとアンバランスな印象はありました。

予告編は明らかに、
これがホラー映画であるかのような、
誤解を招く印象がありましたし、
映画の作り手と売り手との間で、
何か考え方の違いがあったのかも知れません。

いずれにしても、
随所に印象的な描写を挟んだ、
ロマネスク的で真摯なスタイルの映画で、
やややり切れていないという印象、
テーマを掘り下げ切れていないという印象はあるのですが、
観て損はない作品だと思います。

予告編を見てホラーのように感じた方は、
その印象は誤りなので、
その点のみご注意下さい。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

この記事へのコメント