唐組 第75回公演「紙芝居の絵の町で」
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。

唐組の第75回公演として、
2006年に初演され、2014年に再演された、
「紙芝居の絵の町で」が上演されています。
その新宿花園神社の公演に足を運びました。
この作品は勿論初演も再演も全部観ています。
初演の当時は唐先生のお芝居に、
もっと別の物を期待していた時期だったので、
あまり感銘を受けなかったのですが、
2014年の再演の時には、
2000年代の唐先生の劇作の中でも、
非常に優れた群像劇であることを理解出来ましたし、
久保井研さんの繊細な演出にも魅了されました。
特に2幕の悪党の一夜妻となった南雲ひとみと、
映画絵師の青年群青疾風との、
切ない濃厚な濡れ場に感銘を受けました。
濡れ場と言っても行為ではなく、
台詞のみで愛を交わすという場面なのですが、
おそらく唐先生の全戯曲の中でも、
一番と言って良いくらいのエロチックな場面で、
それが台詞によって観念的な抒情に高められている、
という点が素晴らしいのです。
初演では赤松由美さんと丸山厚人さんが、
2014年の再演では同じ赤松さんと岩戸秀年さんが、
今回の上演では藤井由紀さんと影山翔一さんが、
そのカップルを演じています。
群青疾風という役は、
明らかに昔の小林薫さんの系譜に連なるもので、
熱情を込めて畳み掛けるように台詞を語ることで成立する役柄です。
これまでの3人の中では、
藝質としては丸山厚人さんが、
一番小林薫さんに近かったと思うのですが、
役柄の雰囲気とその切なさと言う面では、
今回の影山さんもなかなかでした。
対するひとみ役は、
初演と再演の赤松さんが素晴らしかったのですが、
今回の藤井さんの同役も、
よりエロチックな香気を放つ名演でした。
それから儲け役と言って良いのが、
性別不明の紙芝居絵師、情夜涙子役で、
こうした役柄は唐先生ならではですが、
初演と再演の辻孝彦さんが絶妙で、
他にちょっと演じられる役者さんはいないのでは、
というようにも感じていましたが、
今回の友寄有司さんは辻さんが霞むくらいの絶妙な演技で、
友寄さんのベストアクトの1つだと思いますし、
この役柄の新たな側面を見せてくれる名演でした。
この作品は個々の人間ドラマを、
オムニバスのように味わうべきもので、
そこに唐先生の当時の円熟した境地が、
現れているように思います。
若手の抜擢の多い舞台は、
正直これまでの上演より粗削りに感じる部分も多いのですが、
久保井さんの絶妙な手綱さばきもあって、
唐先生の台詞の美しさと切なさとを、
十全に感じられる舞台になっていたと思います。
頑張って下さい。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。

唐組の第75回公演として、
2006年に初演され、2014年に再演された、
「紙芝居の絵の町で」が上演されています。
その新宿花園神社の公演に足を運びました。
この作品は勿論初演も再演も全部観ています。
初演の当時は唐先生のお芝居に、
もっと別の物を期待していた時期だったので、
あまり感銘を受けなかったのですが、
2014年の再演の時には、
2000年代の唐先生の劇作の中でも、
非常に優れた群像劇であることを理解出来ましたし、
久保井研さんの繊細な演出にも魅了されました。
特に2幕の悪党の一夜妻となった南雲ひとみと、
映画絵師の青年群青疾風との、
切ない濃厚な濡れ場に感銘を受けました。
濡れ場と言っても行為ではなく、
台詞のみで愛を交わすという場面なのですが、
おそらく唐先生の全戯曲の中でも、
一番と言って良いくらいのエロチックな場面で、
それが台詞によって観念的な抒情に高められている、
という点が素晴らしいのです。
初演では赤松由美さんと丸山厚人さんが、
2014年の再演では同じ赤松さんと岩戸秀年さんが、
今回の上演では藤井由紀さんと影山翔一さんが、
そのカップルを演じています。
群青疾風という役は、
明らかに昔の小林薫さんの系譜に連なるもので、
熱情を込めて畳み掛けるように台詞を語ることで成立する役柄です。
これまでの3人の中では、
藝質としては丸山厚人さんが、
一番小林薫さんに近かったと思うのですが、
役柄の雰囲気とその切なさと言う面では、
今回の影山さんもなかなかでした。
対するひとみ役は、
初演と再演の赤松さんが素晴らしかったのですが、
今回の藤井さんの同役も、
よりエロチックな香気を放つ名演でした。
それから儲け役と言って良いのが、
性別不明の紙芝居絵師、情夜涙子役で、
こうした役柄は唐先生ならではですが、
初演と再演の辻孝彦さんが絶妙で、
他にちょっと演じられる役者さんはいないのでは、
というようにも感じていましたが、
今回の友寄有司さんは辻さんが霞むくらいの絶妙な演技で、
友寄さんのベストアクトの1つだと思いますし、
この役柄の新たな側面を見せてくれる名演でした。
この作品は個々の人間ドラマを、
オムニバスのように味わうべきもので、
そこに唐先生の当時の円熟した境地が、
現れているように思います。
若手の抜擢の多い舞台は、
正直これまでの上演より粗削りに感じる部分も多いのですが、
久保井さんの絶妙な手綱さばきもあって、
唐先生の台詞の美しさと切なさとを、
十全に感じられる舞台になっていたと思います。
頑張って下さい。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
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