「聖なるイチジクの種」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
聖なるイチジクの種.jpg
これは少し前に観た映画ですが、
イランで反政府的映画を作って有罪判決を受け、
今は国外で生活している監督が作った大作で、
カンヌ国際映画祭の審査員特別賞を取っています。

全編イランが舞台となっていて、
反政府的な暴動の起こる中、
国民を取り締まる側に立つ父親と、
反政府運動に関わる娘がいる一家で、
娘さんが活動家の負傷した少女を匿うところから、
家族には大きな亀裂が生まれ、
父が護身用に持っていた拳銃が、
自宅で紛失するという事件が起こります。
つまり、国内の複雑な対立構造を、
1つの家族に象徴させて描く、
という趣向です。

167分という長尺ですが、
独特の緊張感が全編を支配していて、
退屈することなく観終わることが出来ます。

ただ、前半はリアルな感じで凄味があるのですが、
一家が田舎に逃げる後半になると、
父親がモンスター化するので、
ほぼほぼモンスター映画の雰囲気となり、
ラストも概ねモンスター映画と同じラストになってしまうので、
正直ちょっとモヤモヤする感じが残りました。

ラストは民衆が勝利したことを示すような、
ニュース映像で終わりになるので、
あたかもイラン政府は転覆したかのように思えますが、
実際には勿論そうではなく、
報道などで読む限り、
政府が一定の譲歩をして、
混乱は鎮静化したということのようで、
果たしてこうした演出にすることが必要だったのかと考えると、
そこもちょっとモヤモヤしてしまいました。

カンヌの受賞は、
監督が命がけで撮った政治的な映画で、
欧米の価値観でイラン政府を徹底して批判している訳ですから、
そりゃ、取るよな、と言う感じです。

ここに描かれたイランの姿が、
何処まで事実であるかは正直分かりませんし、
政治的な映画は面白くはあるのですが、
素直に良いとか悪いとかとは言いにくいので、
難しいな、というのが正直な感想でした。

一見の価値はある映画ですが、
かなりモヤモヤする感じですっきりはしませんので、
その点は理解した上で、
鑑賞するのが吉だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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