ワインのコレステロール低下作用(2025年メタ解析)

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ワインのコレステロール低下作用.jpg
the Journal of Nutrition, Health and Aging誌に、
2025年6月付で掲載された、
ワインの健康効果についてのメタ解析の論文です。

ワインには抗酸化作用のあるポリフェノールが多く、
そのためワインはそれ以外のアルコール飲料と比較して、
より心血管疾患予防効果が高いことを示唆する報告があります。

それは事実なのでしょうか?

2023年に発表されたメタ解析の論文では、
これまでに発表された22の臨床データをまとめて解析したところ、
ワインを飲む人は飲まない人と比較して、
冠動脈疾患の発症リスクが24%(95%CI:0.69から0.84)、
心血管疾患の発症リスクが17%(95%CI:0.70から0.98)、
心血血管疾患による死亡のリスクは27%(95%CI:0.59から0.90)、
それぞれ有意に低下していた、
という結果になっていました。

これは摂取量はまちまちであるため、
ワインの摂取量と健康影響との関連を確認出来るデータではなく、
他のアルコール飲料との比較も困難です。
ただ、死亡リスクを明確に抑制している点は興味深く、
今後他のアルコール飲料との比較やワインの種別による違いなど、
より詳細な検証が必要と思われる結果でした。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10303697/

仮にワインが動脈硬化などの進行を抑制する健康飲料だとして、
その効果はどのようなメカニズムで生じているのでしょうか?

これまでに赤ワインがコレステロールを低下させるのでは、
という報告があり、
そこではワインに含まれるポリフェノールが、
コレステロールの吸収を抑制したり、
脂質関連の代謝を調整する、
というようなメカニズムが推測されています。

ワインは本当にコレステロールを低下させるのでしょうか?

今回の研究は、
これまでの主だった臨床データをまとめて解析する、
システマティックレビューとメタ解析という手法を用いて、
ワインの飲酒と脂質関連のデータとの関係を、
トータルに検証しているものです。

ワインは赤と白に分けて解析し、
脂質の数値は、総コレステロール、LDLコレステロール、
HDLコレステロール、中性脂肪、フィブリノーゲン、
が対象となっています。

システマティックレビューに33研究、
メタ解析に29研究を対象として解析したところ、
白ワインを飲むことは、
脂質の数値の増減に、
有意な影響を与えていませんでした。
赤ワインを飲む人は、飲まない人と比較して、
LDLコレステロールの低下が有意に認められました。
それ以外の検査値については、
こちらも有意な影響は認められませんでした。

このように、
今回の解析では赤ワインのみで、
動脈硬化との関連が強い、
LDLコレステロールの低下作用が認められました。

それがどの程度赤ワインの健康効果と、
関連しているのかは現時点で不明ですが、
赤ワインの健康効果は白ワインとは別物だと、
そう考えておいた方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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