精子の質と生命予後
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療となります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

Human Reproduction誌に2025年3月5日付で掲載された、
精子の機能と生命予後との関連についての論文です。
男性不妊症はその多くが、
精子数の減少や運動率の低下など、
精子の質の問題であることが多く、
通常精液の検査により診断されます。
ストレスなどが精子の質に影響を与えることが知られていて、
不妊症全体における男性不妊の比率は、
増加していると考えられています。
実は男性不妊症の存在は、
心血管疾患など他の慢性の病気との関連もあり、
男性不妊症ではトータルな健康状態が悪いことが多く、
短命であるという気になる報告も見られます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32272993/
ただ、それが男性不妊症自体のせいであるのか、
それともストレスなど、
男性不妊症の誘因となる病態に起因するものなのか、
と言った点については、
まだ明確なことが分かっていません。
今回の研究は、
国民総背番号制を敷くデンマークにおいて、
不妊症の検査目的で精液検査を施行された男性、
トータル78284を対象として、
精子数やその質と、
その後の生命予後との関連を比較検証しているものです。
精液の質の指標として、
精子数と運動率を掛け合わせた、
総運動精子数という数値を用いると、
この指標が1億2000万を超える正常な男性では、
推計の平均寿命は80.3歳であったのに対して、
総運動精子数が0から500万と高度に減少している男性では、
平均寿命は77.6歳で、
精液の質が低いほど、
推計寿命は短くなる傾向が認められました。
総運動精子数が1億2000万を超える男性と比較して、
無精子症の患者では総死亡リスクは39%(95%CI:1.05から1.85)、
総運動精子数が0から500万では、
総死亡リスクは61%(95%CI:1.42から1.83)、
総運動精子数が500から1000万では、
総死亡リスクは38%(95%CI:1.14から1.68)、
総運動精子数が1000万から4000万でな、
総死亡リスクは27%(95%CI:1.13から1.42)、
それぞれ有意に増加が認められました。
このように、
今回の大規模な検証では、
精液の質と死亡リスクとの間に、
一定の関係性が認められました。
そのメカニズムについては不明の点が多く、
今後の研究を待つ必要がありますが、
男性の精子の状態は、
健康の1つのバロメーターであって、
今後はその健康指標としての重要性が、
より高くなる可能性がありそうです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療となります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

Human Reproduction誌に2025年3月5日付で掲載された、
精子の機能と生命予後との関連についての論文です。
男性不妊症はその多くが、
精子数の減少や運動率の低下など、
精子の質の問題であることが多く、
通常精液の検査により診断されます。
ストレスなどが精子の質に影響を与えることが知られていて、
不妊症全体における男性不妊の比率は、
増加していると考えられています。
実は男性不妊症の存在は、
心血管疾患など他の慢性の病気との関連もあり、
男性不妊症ではトータルな健康状態が悪いことが多く、
短命であるという気になる報告も見られます。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32272993/
ただ、それが男性不妊症自体のせいであるのか、
それともストレスなど、
男性不妊症の誘因となる病態に起因するものなのか、
と言った点については、
まだ明確なことが分かっていません。
今回の研究は、
国民総背番号制を敷くデンマークにおいて、
不妊症の検査目的で精液検査を施行された男性、
トータル78284を対象として、
精子数やその質と、
その後の生命予後との関連を比較検証しているものです。
精液の質の指標として、
精子数と運動率を掛け合わせた、
総運動精子数という数値を用いると、
この指標が1億2000万を超える正常な男性では、
推計の平均寿命は80.3歳であったのに対して、
総運動精子数が0から500万と高度に減少している男性では、
平均寿命は77.6歳で、
精液の質が低いほど、
推計寿命は短くなる傾向が認められました。
総運動精子数が1億2000万を超える男性と比較して、
無精子症の患者では総死亡リスクは39%(95%CI:1.05から1.85)、
総運動精子数が0から500万では、
総死亡リスクは61%(95%CI:1.42から1.83)、
総運動精子数が500から1000万では、
総死亡リスクは38%(95%CI:1.14から1.68)、
総運動精子数が1000万から4000万でな、
総死亡リスクは27%(95%CI:1.13から1.42)、
それぞれ有意に増加が認められました。
このように、
今回の大規模な検証では、
精液の質と死亡リスクとの間に、
一定の関係性が認められました。
そのメカニズムについては不明の点が多く、
今後の研究を待つ必要がありますが、
男性の精子の状態は、
健康の1つのバロメーターであって、
今後はその健康指標としての重要性が、
より高くなる可能性がありそうです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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