「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。

ボブ・ディランをティモシー・シャラメが演じた伝記映画が、
今公開されています。
これは音楽映画として最高でした。
ディランはそれほどファンではありませんが、
LPは5枚くらい持っていて、
高校生の頃に結構聴き込みましたし、
来日コンサート(結構お年を召してからですが)にも、
都合3回くらい足を運びました。
良い意味でグズグズのコンサートでしたね。
映画は1961年の無名の時から始まり、
1965年にフォークフェスで、
「ライク・ア・ローリング・ストーン」などを演奏して、
聴衆を唖然とさせた、
という有名なエピソードで終わります。
つまり、急激にスターダムに上り詰め、
そこから過去のしがらみを強引かつ暴力的に脱ぎ捨てて、
新しい世界に踏み出す、
というところまでの数年間の物語なのです。
これがとてもいいんですね。
純粋で怖いもの知らずの青年が、
一夜にしてスターになるという物語は、
定番ですが素朴にワクワクしますし、
2人の女性との結構複雑な恋模様もなかなかです。
そして、自分を発見してくれた恩人を裏切って、
ファンからも罵声を浴びながら、
それでも自分の音楽のみを里程標に、
新しい世界に踏み出すというラストの、
苦く複雑な味わいにも感銘を受けました。
もし本当に友達であったら、
主人公はとても嫌な奴であることは確かなので、
こうした作品を好まない人もいると思うのですが、
僕は天才など全てそうした人であると思っている方なので、
それを変に「善人」にしたり、
一般の人に理解可能な人格に改変してしまうより、
良いのではないかという立場です。
この作品の成功は、
何と言ってもディランを演じたシャラメの名演にあって、
正直あまり似ているとは最初は思えないのですが、
途中からはまさに若き日のディランのようにしか、
見えない雰囲気を纏ってしまうのがさすがです。
彼の恩人として登場するエドワード・ノートンが、
また絶妙に円熟したお芝居で、
2人の決裂の苦みが心に滲みます。
音楽映画としても、
ディランの初期の名曲の誕生する瞬間や、
里程標的なギグを再現した場面が素晴らしく、
名曲が名曲である所以を、
見事に可視化していましたし、
とてもワクワクさせられました。
そんな訳で、
少しディランのことを知っていないと、
十全にその魅力を感じられない映画ではあると思うのですが、
知らなくても8割くらいは楽しめる音楽映画の傑作で、
是非是非大きなスクリーンと良い音響で、
そのノスタルジックで素晴らしい世界に、
浸って頂きたいと思います。
傑作です。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。

ボブ・ディランをティモシー・シャラメが演じた伝記映画が、
今公開されています。
これは音楽映画として最高でした。
ディランはそれほどファンではありませんが、
LPは5枚くらい持っていて、
高校生の頃に結構聴き込みましたし、
来日コンサート(結構お年を召してからですが)にも、
都合3回くらい足を運びました。
良い意味でグズグズのコンサートでしたね。
映画は1961年の無名の時から始まり、
1965年にフォークフェスで、
「ライク・ア・ローリング・ストーン」などを演奏して、
聴衆を唖然とさせた、
という有名なエピソードで終わります。
つまり、急激にスターダムに上り詰め、
そこから過去のしがらみを強引かつ暴力的に脱ぎ捨てて、
新しい世界に踏み出す、
というところまでの数年間の物語なのです。
これがとてもいいんですね。
純粋で怖いもの知らずの青年が、
一夜にしてスターになるという物語は、
定番ですが素朴にワクワクしますし、
2人の女性との結構複雑な恋模様もなかなかです。
そして、自分を発見してくれた恩人を裏切って、
ファンからも罵声を浴びながら、
それでも自分の音楽のみを里程標に、
新しい世界に踏み出すというラストの、
苦く複雑な味わいにも感銘を受けました。
もし本当に友達であったら、
主人公はとても嫌な奴であることは確かなので、
こうした作品を好まない人もいると思うのですが、
僕は天才など全てそうした人であると思っている方なので、
それを変に「善人」にしたり、
一般の人に理解可能な人格に改変してしまうより、
良いのではないかという立場です。
この作品の成功は、
何と言ってもディランを演じたシャラメの名演にあって、
正直あまり似ているとは最初は思えないのですが、
途中からはまさに若き日のディランのようにしか、
見えない雰囲気を纏ってしまうのがさすがです。
彼の恩人として登場するエドワード・ノートンが、
また絶妙に円熟したお芝居で、
2人の決裂の苦みが心に滲みます。
音楽映画としても、
ディランの初期の名曲の誕生する瞬間や、
里程標的なギグを再現した場面が素晴らしく、
名曲が名曲である所以を、
見事に可視化していましたし、
とてもワクワクさせられました。
そんな訳で、
少しディランのことを知っていないと、
十全にその魅力を感じられない映画ではあると思うのですが、
知らなくても8割くらいは楽しめる音楽映画の傑作で、
是非是非大きなスクリーンと良い音響で、
そのノスタルジックで素晴らしい世界に、
浸って頂きたいと思います。
傑作です。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
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