東京サンシャインボーイズ復活公演「蒙古が襲来」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。

蒙古が襲来.jpg
東京サンシャインボーイズの30年ぶりの本公演として、
三谷幸喜さんの作演出で、
新作の「蒙古が襲来」が今上演されています。

東京サンシャインボーイズは、
1993年の「ラヂオの時間」をシアタートップスで観たのが最初で、
その後の公演は休止前の「罠」まで、
全てに足を運びました。
と言っても、2年しかなかったのですが…

今回の作品は舞台が元寇直前の対馬に設定されていて、
敵が攻めて来るのか来ないのか、
といったことを巡るドタバタが、
群像劇として描かれて、
最後は今までの三谷さんのお芝居では、
あまり観たことのないようなラストに帰着します。

これは「鎌倉殿の13人」の、
後日談と言った感じが強いのですね。
あれは暗い大河でしたね。
ここまでダークに振り切るのか、
と驚いたのですが、
今回のお芝居はその残滓があると言うのか、
あの大河がなければ書かれなかったタイプの作品、
という気がします。

色々と30年ぶりを彩る仕掛けもあって、
見どころの多いお芝居でした。

ただ、最後に長いお説教的な説明台詞があって終わるのですが、
最後に作品の意図を台詞で説明する、
というのはどうなのかなあ、
という思いはありました。
あれじゃ芝居として成立しないよね。

まあでも、シェイクスピアの喜劇は、
最後に狂言回しが全部説明しますから、
それを思えば古典劇的でおかしい訳ではない、
ということにはなります。

また、変な余韻を持たせるより、
言いたいことをそのまま説明台詞で説明してしまった方が…
というのは分かるのですね。
今はちゃんと全てを説明しないと、
誤解されて言葉尻を掴まれて批判されたり炎上したりするので、
今の時代にはこうした手法の方が良いのかも知れません。

それを分かった上での判断なのであれば、
三谷さんらしいクレヴァーさです。

それからラストに至るまでの、
いつもの喜劇の部分が、
盛り上がりに欠けてちょっと弱いなあ、
という印象はありましたね。
個別の人間ドラマには良いものがあるのですが、
それが集約される感じに乏しいのですね。
群像が群像のままで終わってしまった、
という感じがありました。

そのためにせっかくの衝撃的なラストが、
やや唐突な感じになってしまったように思います。

キャストは全員素晴らしかったですね。
相島一之さんと宮地雅子さん、梶原善さんがメインで、
村の長老3人に西村まさ彦さん、近藤芳正さん、
野仲功さんというのもばっちりです。
暴れん坊の小林隆さん、甲本雅裕さん、阿南健治さんも、
期待通りの暴れ方で舞台に活力を与えていました。

そんな訳で、
かつての東京サンシャインボーイズのファンには、
まずは満足のいける1本であったことは確かで、
作品としては三谷さんの代表作レベルではないので、
かつての東京サンシャインボーイズのことは知らずに、
期待をもって初見という方には、
やや落胆を感じる部分や退屈を感じる部分はありそうですが、
そこはもう1つの祝祭劇なので、
寛容に受け止めるのがが吉だと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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