自転車競技と骨粗鬆症リスク

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
サイクリングの骨粗鬆症リスク.jpg
Medicine & Science in Sports & Exercise誌に、
2023年に発表された論文ですが、
サイクリングが骨密度に与える影響についての内容です。

骨粗鬆症の予防のためには、
運動が有効であると指摘されています。
ただ、これは体操やサッカーなどのスポーツについては、
良い効果があるとするデータがある一方で、
愛好家の多いサイクリングについては、
意外にも骨密度を低下させるリスクがある、
とする報告が多いのです。

今回の研究ではオランダにおいて、
自転車競技のロードレースに参加しているか参加していた、
93名の競技者の骨密度を計測して検証しています。

競技者をキャリアの浅い競技者と、
プロを含むベテランの競技者、
そして競技引退後の競技者に分けて検証。
男女の比較も行っています。
骨密度はZスコア<-1を骨密度低下と定義しています。

その結果、
腰椎の骨密度の低下は、
キャリアの浅い男性の競技者の27%、
ベテランの競技者の64%、
引退後の競技者の50%に認められました。
また女性の現役の競技者の45%においても、
同様の骨密度低下が認められました。

一般の人より運動を常時している筈のサイクリストの骨密度が、
何故一般の人より低いのでしょうか?

サイクリングは、
重力の負荷を受け難い、
非荷重性の運動です。
つまり、地面に足を踏ん張るような動きがないので、
骨密度保持のための運動としては、
適していない可能性があるのです。

勿論筋トレなどの荷重性の運動を組み合わせれば、
その欠点を補うことが出来るのですが、
往々にしてサイクリングの競技者は、
サイクリング以外の運動に時間を割くことが少なく、
それが骨密度低下の要因となっている可能性が示唆されました。

サイクリングには非荷重性という特徴があり、
他の運動をしないと、
骨密度には悪影響を与える可能性があることには、
注意が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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