糖尿病治療薬と喘息発作との関連
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

JAMA Internal Medicine誌に、
2024年11月18日付で掲載された、
糖尿病治療薬が喘息のコントロールに与える影響についての論文です。
気管支喘息と糖尿病というのは、
基本的には全く別の慢性の病気ですが、
互いに無関係ではありません。
肥満の患者さんでは喘息と糖尿病の合併が多く、
糖尿病を合併する喘息では、
発作のコントロールが不良になることが多い、
というような知見があるからです。
それでは糖尿病の治療薬によって、
喘息の予後に違いがあるのでしょうか?
肥満や生活習慣が大きく影響する2型糖尿病では、
世界的にメトホルミンが第一選択の治療薬とされています。
このメトホルミンには抗炎症作用など、
喘息の改善にも有効と思われる薬理作用があることが、
これまでの研究で明らかになっていますが、
それが実地の臨床においてどの程度有効であるのかは、
明らかになっていません。
そこで今回の研究ではイギリスにおいて、
プライマリケアの大規模なデータベースを活用。
臨床データから2種類の解析法を用いて、
糖尿病と喘息を合併している患者さんにおいて、
糖尿病治療薬の開始がその後の喘息発作に与える影響を検証しています。
まず各患者さんの治療の時期とそれ以外の時期とを比較する、
自己対照研究(self-controlled case series)という方法で、
4278名の患者さんを解析、
更に治療選択の根拠を階層化して分析する、
傾向スコア分析(inverse probability of treatment weighting)という方法で、
8424名の患者さんを解析しています。
その結果、
1年の観察期間における重症の喘息発作のリスクは、
メトホルミンの使用により、
自己対照研究で32%(95%CI:0.62から0.75)、
傾向スコア分析でも24%(95%CI:0.67から0.85)、
それぞれ有意に低下していました。
つまり、メトホルミンの使用により、
喘息のコントロールも改善した、
ということを示唆する結果です。
メトホルミンは通常の治療において、
他の糖尿病治療薬と併用されることが多いのですが、
その解析においては、
GLP-1アナログという治療薬の上乗せにより、
自己対照研究において、
更に40%(95%CI:0.49から0.73)、
喘息発作のリスク低下が確認されました。
このように、
メトホルミンの使用及びそこへのGLP-1の上乗せは、
喘息と糖尿病を合併する患者さんにおいて、
血糖コントロールを良くするのみならず、
喘息の重症化も改善する効果が、
今回の結果から推測されました。
これはまだ過去の臨床データを後から解析したものなので、
今後より精度の高い、
介入試験などで確認されるまでは、
実証された知見とまでは言えないものですが、
糖尿病の治療薬が喘息にも有効という知見自体は非常に興味深く、
今後の更なる検証に期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。

JAMA Internal Medicine誌に、
2024年11月18日付で掲載された、
糖尿病治療薬が喘息のコントロールに与える影響についての論文です。
気管支喘息と糖尿病というのは、
基本的には全く別の慢性の病気ですが、
互いに無関係ではありません。
肥満の患者さんでは喘息と糖尿病の合併が多く、
糖尿病を合併する喘息では、
発作のコントロールが不良になることが多い、
というような知見があるからです。
それでは糖尿病の治療薬によって、
喘息の予後に違いがあるのでしょうか?
肥満や生活習慣が大きく影響する2型糖尿病では、
世界的にメトホルミンが第一選択の治療薬とされています。
このメトホルミンには抗炎症作用など、
喘息の改善にも有効と思われる薬理作用があることが、
これまでの研究で明らかになっていますが、
それが実地の臨床においてどの程度有効であるのかは、
明らかになっていません。
そこで今回の研究ではイギリスにおいて、
プライマリケアの大規模なデータベースを活用。
臨床データから2種類の解析法を用いて、
糖尿病と喘息を合併している患者さんにおいて、
糖尿病治療薬の開始がその後の喘息発作に与える影響を検証しています。
まず各患者さんの治療の時期とそれ以外の時期とを比較する、
自己対照研究(self-controlled case series)という方法で、
4278名の患者さんを解析、
更に治療選択の根拠を階層化して分析する、
傾向スコア分析(inverse probability of treatment weighting)という方法で、
8424名の患者さんを解析しています。
その結果、
1年の観察期間における重症の喘息発作のリスクは、
メトホルミンの使用により、
自己対照研究で32%(95%CI:0.62から0.75)、
傾向スコア分析でも24%(95%CI:0.67から0.85)、
それぞれ有意に低下していました。
つまり、メトホルミンの使用により、
喘息のコントロールも改善した、
ということを示唆する結果です。
メトホルミンは通常の治療において、
他の糖尿病治療薬と併用されることが多いのですが、
その解析においては、
GLP-1アナログという治療薬の上乗せにより、
自己対照研究において、
更に40%(95%CI:0.49から0.73)、
喘息発作のリスク低下が確認されました。
このように、
メトホルミンの使用及びそこへのGLP-1の上乗せは、
喘息と糖尿病を合併する患者さんにおいて、
血糖コントロールを良くするのみならず、
喘息の重症化も改善する効果が、
今回の結果から推測されました。
これはまだ過去の臨床データを後から解析したものなので、
今後より精度の高い、
介入試験などで確認されるまでは、
実証された知見とまでは言えないものですが、
糖尿病の治療薬が喘息にも有効という知見自体は非常に興味深く、
今後の更なる検証に期待をしたいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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