口呼吸防止テープの効果とそのリスク
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。

JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery誌に、
2024年10月3日付で掲載された。
口呼吸防止テープの効果とリスクについての論文です。
夜寝ている時に。
口を開けて呼吸する所謂「口呼吸(mouse-breathing)」が、
夜間などの呼吸状態を悪化させ、
また口腔内を乾燥させて、
咽頭炎などの感染症の原因になり易いことは、
一般にも広く認識されている事項です。
そのため口呼吸を抑制するために、
一般に行われている方法が、
口に専用のテープを貼って、
口で呼吸が出来ないようにするという方法です。
このテープを、
口呼吸テープや逆に鼻呼吸テープ、
口呼吸防止テープなど、
様々な名称で呼ばれています。
その理屈を示したのがこちらです。

左の図は寝ている時に口呼吸をしている場合です。
舌の背中側の部分(舌根)が下に落ちることで、
空気の入る気道が狭くなり、
呼吸の状態が悪くなっていることが分かります。
右の図は口呼吸防止テープを使った場合で、
口呼吸が制限されることにより鼻呼吸となると、
舌根部が持ち上がって、
気流が増加して呼吸状態も改善するのです。
常にこのように上手くゆくのであれば問題はありません。
ただ、たとえば鼻閉などがあって、
鼻から呼吸し難いような状態であると、
結果として口と鼻の両方が塞がれて、
呼吸が出来なくなることはさすがにないとしても、
気流の状態がより悪化する、
という事態が起こる可能性が、
当然想定されるところです。
実際にはどうなのでしょうか?
今回の研究では、
口呼吸の弊害が特に呼吸状態に影響を与える可能性のある、
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さん54名を対象として、
その口呼吸のレベルを、
軽症(口からの気流が0.05L/分未満)、
中等症(口からの気流が0.05から2.2L/分)、
重症(口からの気流が2.2L/分を超える)、
の3種類に分けて、
口呼吸防止テープの効果を比較検証しています。
その結果、
軽症の患者さんでは口呼吸防止テープは、
気流の状態に殆ど影響を与えず、
中等症の口呼吸のある患者さんでは、
口呼吸防止テープは気流の状態を改善させた一方で
重症の口呼吸のある患者さんでは、
逆に気流を低下させ、
呼吸の状態を悪化させていました。
このように、
口呼吸にどれだけ頼っているかによって、
口呼吸防止テープの有効性は異なり、
有効な患者さんがいる一方で、
一部の重症な患者さんにおいては、
テープが逆効果となる事例もあることが確認されました。
口呼吸防止テープは、
一定の有効性があるのですが、
その使用は重症の患者さんではリスクもあることも、
周知される必要がありそうです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。

JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery誌に、
2024年10月3日付で掲載された。
口呼吸防止テープの効果とリスクについての論文です。
夜寝ている時に。
口を開けて呼吸する所謂「口呼吸(mouse-breathing)」が、
夜間などの呼吸状態を悪化させ、
また口腔内を乾燥させて、
咽頭炎などの感染症の原因になり易いことは、
一般にも広く認識されている事項です。
そのため口呼吸を抑制するために、
一般に行われている方法が、
口に専用のテープを貼って、
口で呼吸が出来ないようにするという方法です。
このテープを、
口呼吸テープや逆に鼻呼吸テープ、
口呼吸防止テープなど、
様々な名称で呼ばれています。
その理屈を示したのがこちらです。

左の図は寝ている時に口呼吸をしている場合です。
舌の背中側の部分(舌根)が下に落ちることで、
空気の入る気道が狭くなり、
呼吸の状態が悪くなっていることが分かります。
右の図は口呼吸防止テープを使った場合で、
口呼吸が制限されることにより鼻呼吸となると、
舌根部が持ち上がって、
気流が増加して呼吸状態も改善するのです。
常にこのように上手くゆくのであれば問題はありません。
ただ、たとえば鼻閉などがあって、
鼻から呼吸し難いような状態であると、
結果として口と鼻の両方が塞がれて、
呼吸が出来なくなることはさすがにないとしても、
気流の状態がより悪化する、
という事態が起こる可能性が、
当然想定されるところです。
実際にはどうなのでしょうか?
今回の研究では、
口呼吸の弊害が特に呼吸状態に影響を与える可能性のある、
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さん54名を対象として、
その口呼吸のレベルを、
軽症(口からの気流が0.05L/分未満)、
中等症(口からの気流が0.05から2.2L/分)、
重症(口からの気流が2.2L/分を超える)、
の3種類に分けて、
口呼吸防止テープの効果を比較検証しています。
その結果、
軽症の患者さんでは口呼吸防止テープは、
気流の状態に殆ど影響を与えず、
中等症の口呼吸のある患者さんでは、
口呼吸防止テープは気流の状態を改善させた一方で
重症の口呼吸のある患者さんでは、
逆に気流を低下させ、
呼吸の状態を悪化させていました。
このように、
口呼吸にどれだけ頼っているかによって、
口呼吸防止テープの有効性は異なり、
有効な患者さんがいる一方で、
一部の重症な患者さんにおいては、
テープが逆効果となる事例もあることが確認されました。
口呼吸防止テープは、
一定の有効性があるのですが、
その使用は重症の患者さんではリスクもあることも、
周知される必要がありそうです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
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