「憐れみの3章」

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
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「哀れなるものたち」のヨルゴス・ランティモス監督の新作で、
前作とほぼ同じメインキャストが顔を揃え、
今回は1本50分ほどの3本のオムニバス映画の趣向です。

観る前はブニュエルやフェリーニの感じを想定していたのですが、
観てみると、
石井輝夫監督の「徳川女刑罰史」みたいな作品でした。

映画は米英の合作ですが、
監督はギリシャ系でヨーロッパの雰囲気が濃厚です。

それもかなり退廃的で病んでいる感じ。
最近のヨーロッパの映画はこうした感じのものが多いですね。
ヨーロッパの知識人たちが、
世界の滅亡と退廃とを強く意識している感じが、
現れているという気がします。

3話のオムニバスで、
1話目は大金持ちから自分の身を犠牲にして、
自動車事故を起こし、相手を殺せと命じられる話。
2話目は妻が偽者と思い込んだ警官が、
残酷な責め苦を与える話。
3話目はカルト宗教の信者の女が、
死者を蘇らせる能力を持つ救世主の女性を探す話。

どれも一筋縄ではいかない、
異常で残酷でエログロ趣味全開の物語で、
それを同じキャストが別々の役柄で演じ分け、
最後には各話が結び付くオチが用意されています。

165分とかなり長尺ですが、
それを感じさせないジェットコースター的な面白さがあり、
何だこの悪趣味で酷い話は、と思いながらも、
あれよあれよと、
最後まで観てしまうという感じがあります。

絶対に今の日本では作れない感じの作品で、
「この映画が好きです」と言うこと自体、
かなり勇気のいる感じの映画です。

個人的にはこうしたものは嫌いではないのですが、
かと言って、褒めるという気分にはなりません。

従って、観るとしても密かに観るというタイプの映画で、
くれぐれも友人や恋人との鑑賞は、
慎重に考えて頂く必要があると思います。

怪作です。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。

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