肺線維症と肺癌との関連性

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
肺線維症と肺癌との関係性.jpg
Thorax誌に2024年9月10日付で掲載された、
肺線維症と肺癌との関係性についての論文です。

特発性間質性肺炎(特発性肺線維症)は、
肺の間質と呼ばれる部分が肥厚し、
次第に線維に置き換わって、
肺炎などの急性増悪を繰り返しながら、
悪化してゆく原因不明の病気で、
ある種の体質を持つ人が、
加齢や感染症、喫煙などの誘発因子の影響で、
発症すると考えられていますが、
その原因の詳細はまだ不明です。

特発性肺線維症の患者さんで肺癌のリスクが高い、
という知見はこれまでにも報告があります。

ただ、実際に肺線維症と合併した肺癌には、
どのようなタイプのものが多く、
その予後にはどのような特徴があるのか、
というような具体的な事項については、
まだあまり明確なことが分かっていません。

そこで今回の研究ではイギリスにおいて、
肺癌スクリーニングのデータを活用。
25136名の肺癌患者と250583名のコントロール群を対象として、
肺線維症と肺癌との関連を検証しています。

その結果、
肺線維症のない場合の肺癌診断率は0.8%であったのに対して、
肺線維症の患者さんでの肺癌診断率は1.5%と高く、
肺線維症は肺癌と診断されるリスクを、
1.97倍(95%CI:1.77から2.21)有意に増加させていました。

肺線維症と併発した肺癌では、
そうでない場合と比較して扁平上皮癌が多く(22.9%対19.1%)、
肺腺癌は少なく(18.0%対21.3%)なっていました。

肺線維症に合併した肺癌は、
進行したステージ4で発見される頻度は低い一方で、
その生命予後は悪いという傾向が認められました。

このように、
肺線維症では肺癌が合併し易いのですが、
その組織型や予後は通常とは異なる場合もあり、
今後その原因を含めて、
更なる検証が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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