続・「ニコチン」の話
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
それでは、今日の話題です。
昨日に続いて、ニコチンの話題を続けます。
ニコチンは身体にとって有害でしょうか?
多分有害だと、思われる方が多いのではないでしょうか。
でも、こうしたデータがあります。
前にもお話しましたが、
アルツハイマー型認知症の発症と、
タバコの量との間には、
負の相関があります。
要するに、タバコを吸う人の方が、
アルツハイマーにはなり難いのです。
しかも、タバコの量が多いほど、
その効果は強いのです。
あるデータでは、タバコを1日20本吸うと、
吸わない人の半分しかアルツハイマーにはなりません。
こんなに画期的に認知症に効く薬が、
他にあるでしょうか。
ありません。
例のアリセプトなど、裸で逃げ出すような効果です。
凄いでしょ。
そればかりではありません。
パーキンソン病の発症も、
タバコは抑えるのです。
まだまだあります。
ニコチンはストレスの耐性を高め、
ストレスに対して人間を強くします。
不安も抑えますし、
注意力や学習能力、記憶力、情報処理能力を、
全て高めます。
これもはっきり立証されていることです。
何故、こんなに素晴らしい効果があるのか、
昨日の記事を読まれた方には、
理屈は分かりますよね。
ニコチンはアセチルコリンの代わりに、
神経を刺激し、その働きを増進するからです。
パーキンソン病の時も、認知症の時も、
他の機能が落ちる前から、
アセチルコリンの機能が低下することが分かっているのです。
それを予防するのですから、
これだけ理に適った薬はありません。
しかも、タバコを毎日吸うでしょ。
次第に昨日お話したα4β2の受容体の数は増えて行くのです。
脳の働きが強化されるのですね。
ニコチンを薬として使えば、
多くの病気から人間は解放されそうです。
幾つかのの欠点を除けば。
その欠点とは、
何よりもまず、「依存性」ですね。
そう。
ニコチンは癖になるのです。
タバコを止められないのは、
勿論その依存性のためです。
また、タバコ1日20本程度の量のニコチンでは、
それほど大きな問題にはならないことが多いのですが、
脳以外の身体への影響があります。
その代表的なものは、
血管の収縮作用ですね。
ニコチンを薬として使う試みは、
今でもされています。
ただ、今後依存性が少なく、
比較的特異的に脳に効く、
ニコチンの製剤が開発されれば、
画期的な薬になる可能性は残っているのです。
身体にいいタバコはあるのか?
難しい問題ですね。
ニコチンは適度な量であれば、
依存性以外にそれほど大きな害はないのです。
ただ、タバコの害はそれ以外の、
タールや一酸化窒素、アンモニアその他の有害物質にあります。
製造過程で、結構な混ぜ物が入っているんですね。
そのことをうまくクリアすれば、
身体にそう悪くはないものに、
変わる可能性はあると思うんですが…
タバコを吸っていて90歳までお元気な方もいらっしゃいますよね。
そういう方は身体もスリムで頭も冴えていて、
勿論癌もないんです。
全ての方にタバコが悪い訳ではないんですよね。
その一方で、肺にご病気の出る方の、
経過はお辛いものになることが多いんです。
禁煙原理主義者みたいな方もいらっしゃいますね。
タバコが世界の悪の代表みたいな言い方をされるような。
僕はそこまでは思わないんです。
どういう人に害を与えるのか、
その辺の検討がもっと必要だと思いますね。
その上で、害の少ないタバコを残すような、
そんな方向性も有り得るのでは、
と思うんですが。
皆さんはどうお考えになりますか。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
それでは、今日の話題です。
昨日に続いて、ニコチンの話題を続けます。
ニコチンは身体にとって有害でしょうか?
多分有害だと、思われる方が多いのではないでしょうか。
でも、こうしたデータがあります。
前にもお話しましたが、
アルツハイマー型認知症の発症と、
タバコの量との間には、
負の相関があります。
要するに、タバコを吸う人の方が、
アルツハイマーにはなり難いのです。
しかも、タバコの量が多いほど、
その効果は強いのです。
あるデータでは、タバコを1日20本吸うと、
吸わない人の半分しかアルツハイマーにはなりません。
こんなに画期的に認知症に効く薬が、
他にあるでしょうか。
ありません。
例のアリセプトなど、裸で逃げ出すような効果です。
凄いでしょ。
そればかりではありません。
パーキンソン病の発症も、
タバコは抑えるのです。
まだまだあります。
ニコチンはストレスの耐性を高め、
ストレスに対して人間を強くします。
不安も抑えますし、
注意力や学習能力、記憶力、情報処理能力を、
全て高めます。
これもはっきり立証されていることです。
何故、こんなに素晴らしい効果があるのか、
昨日の記事を読まれた方には、
理屈は分かりますよね。
ニコチンはアセチルコリンの代わりに、
神経を刺激し、その働きを増進するからです。
パーキンソン病の時も、認知症の時も、
他の機能が落ちる前から、
アセチルコリンの機能が低下することが分かっているのです。
それを予防するのですから、
これだけ理に適った薬はありません。
しかも、タバコを毎日吸うでしょ。
次第に昨日お話したα4β2の受容体の数は増えて行くのです。
脳の働きが強化されるのですね。
ニコチンを薬として使えば、
多くの病気から人間は解放されそうです。
幾つかのの欠点を除けば。
その欠点とは、
何よりもまず、「依存性」ですね。
そう。
ニコチンは癖になるのです。
タバコを止められないのは、
勿論その依存性のためです。
また、タバコ1日20本程度の量のニコチンでは、
それほど大きな問題にはならないことが多いのですが、
脳以外の身体への影響があります。
その代表的なものは、
血管の収縮作用ですね。
ニコチンを薬として使う試みは、
今でもされています。
ただ、今後依存性が少なく、
比較的特異的に脳に効く、
ニコチンの製剤が開発されれば、
画期的な薬になる可能性は残っているのです。
身体にいいタバコはあるのか?
難しい問題ですね。
ニコチンは適度な量であれば、
依存性以外にそれほど大きな害はないのです。
ただ、タバコの害はそれ以外の、
タールや一酸化窒素、アンモニアその他の有害物質にあります。
製造過程で、結構な混ぜ物が入っているんですね。
そのことをうまくクリアすれば、
身体にそう悪くはないものに、
変わる可能性はあると思うんですが…
タバコを吸っていて90歳までお元気な方もいらっしゃいますよね。
そういう方は身体もスリムで頭も冴えていて、
勿論癌もないんです。
全ての方にタバコが悪い訳ではないんですよね。
その一方で、肺にご病気の出る方の、
経過はお辛いものになることが多いんです。
禁煙原理主義者みたいな方もいらっしゃいますね。
タバコが世界の悪の代表みたいな言い方をされるような。
僕はそこまでは思わないんです。
どういう人に害を与えるのか、
その辺の検討がもっと必要だと思いますね。
その上で、害の少ないタバコを残すような、
そんな方向性も有り得るのでは、
と思うんですが。
皆さんはどうお考えになりますか。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
この記事へのコメント
http://d.hatena.ne.jp/sakurasasuke/20100130
こんなのもあります。私も鼻づまりがとれすっきりするので喫煙を始めて20数年たってしまいましたが、今禁煙すると発症してしまうのでしょうか?どの程度何が病気なのか難しいですよね、
コメントありがとうございます。
少なくともタバコ20本程度の量のニコチンであれば、
害はあまりなく、その作用も多岐に期待が出来るのでは、
と個人的には思います。
ただ、現実にはご負担もタバコより高額になりますし、
おおっぴらにそうしたことはお勧めは出来ません。
上記テーマで、記事を書いています。”ぼけないために! 禁煙しよう” http://smoke-free.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-c54e.html
医師としての曇りのない目で、記事を検証して頂ければ幸いです。
コメントありがとうございます。
記事に関して誤解を招く点があればお詫びします。
タバコを吸っていた方が良い、
と言うつもりは全くなく、
ただ、ニコチンの可能性について言及したものです。
禁煙の必要性については理解していますし、
禁煙治療も行なっています。
タバコの害の多くはニコチンそのものではなく、
それ以外の部分にこそ多いということが、
本文の趣旨とご理解下さい。
「ボケるヒマがない」という可能性は?
コメントありがとうございます。
ニコチンはコリン作動性ニューロンの刺激剤ですから、
その意味で認知症の進行を予防する働きは、
理屈から言ってもあるのです。
ある意味アリセプトという薬は、
ニコチンからその有害作用を、
極力取り去った薬剤、
という言い方が出来るかも知れません。
タバコ自体は有害だと思いますし、
僕も禁煙をお勧めしています。
ただ、タバコの主な害は、
タールなどのニコチン以外の有害な成分にあるのだと、
僕は思います。
ニコチンは心疾患に対しては、
確かに有害な作用がありますが、
同様な作用はアリセプトでも皆無ではありません。
ニコチンの摂取と肺癌や食道癌との間に、
僕の知る限り関連性はないと思いますし、
ニコチン単独で肺気腫のリスクにもならないと思います。
ただ、喘息などの肺疾患がある場合には、
ニコチンは気道を収縮させる方向に働くので、
ニコチンの摂取は望ましくはないと思います。
私の話はタバコ製品に対してで、石原先生の話はニコチンという薬物にしぼった話ということですね。
ただ、一般の方が誤解を受けやすい内容となっています。
私なりにまとめますと、ニコチンが認知症に理論的には効果の可能性があるが、タバコ製品にはその可能性はなく、多くの前向き研究では、認知症に対する効果は否定されており、喫煙はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症のリスクを高めるということです。その根拠は http://smoke-free.cocolog-nifty.com/blog/2009/11/post-c54e.html に書きました。最近の論文でもこのようなものもあります。 http://archinte.ama-assn.org/cgi/content/abstract/archinternmed.2010.393?etoc
どてちんさんの”タバコを吸う人のほうが早死にするので
「ボケるヒマがない」”という考えは全くその通りです。後ろ向き研究で、現在生きている人(認知 or 非認知)の解析で、過去の喫煙を調査して行うと、喫煙者が早死にするため、まるで、喫煙が認知症を減らすような結果が出たこともあります。しかし、これは、喫煙者と非喫煙者をよーいどんで経過をみていく(前向き研究)とで間違っていることが分かりました。まさに喫煙者はぼける前に亡くなられる訳です。
先生の意見は理論上は正しいかもしれませんが、タバコ擁護の立場の人に言葉尻をうまく利用されてしまっているのが残念です。
ご指摘ありがとうございます。
お読みになる方も非常に少なかった頃の記事なので、
今読むとちょっと書き方が扇情的で、
誤解を招く部分があったかと思います。
繰り返しになりますが、
決して喫煙が身体に良い、
などという趣旨ではありません。
現時点でお読みになる方には、
センセイの記事も合わせてご判断頂ければと思います。
論文はまた勉強させて頂きたいと思います。
現行はこのまま記事は置いておきたいのですが、
もし支障があるようでしたら、
ご指摘頂ければ削除したいと思います。
私は一度も喫煙したことがありませんし嫌煙派で、
喫煙室から戻ってきた人がそばにくるとむせますし、
電車の元喫煙車両にも近寄らないほどの嫌煙派ですが、
ニコチンの有効作用について、とても興味深く読ませていただきました。
いつもながら仕組みをわかりやすく説明してくださっているので、なるほど、と思いました。
こういうメリットがあるから大昔から喫煙が世界各地で行われていたのかな、とも思いました。
丁寧に読まないと、嫌煙派にとっては、一見、喫煙推進に感じてしまうところがあるのは事実ですが、よく読むとそうではない一意見であることがわかりますし、削除などなさらないで欲しいと思います。
むしろ、この文章を読んで、タバコ会社が、有害物質を除去した煙の嫌な臭いの無いタバコを開発してくれて、そのタバコしか売らないようにしてくれた方が、嫌煙派にとっても嬉しいのではないかと思いました。
禁煙タクシーや禁煙バスなのに、運転手さんが休憩時間にタバコを吸っていることがあり煙が残っていて非常に迷惑ですし、意識を普及させることの難しさを感じます。それより、周りに害を与えず本人への害も抑えたタバコを開発してくれたほうが、愛煙家、嫌煙派、双方にとって嬉しいでしょ?
暖かいコメントありがとうございます。
感謝しています。
細かい部分的なフレーズや、
言い回しで反応される方が多いのは事実で、
その点を考えつつ、
誤解を生まないような表現を心掛けたいと思います。
ニコチンを少量含む禁煙パッチは
パーキンソン病患者に使用してみても
問題ないでしょうか?
パーキンソン病治療目的でです。
これは理屈の上では問題はないと思います。
ただ、パーキンソンの患者さんでは、
心臓に病気のある場合のあり、
その場合にはニコチンが心臓に負担を掛ける可能性もあります。
また、現時点で推奨をされている使用法ではないので、
自己責任での使用、
ということにはどうしてもなってしまうと思います。
ご回答ありがとうございます。
パッチのメーカーにも問い合わせてみましたが、
勧めませんでしたね。
心臓は、かつて不整脈が一度あっただけで、
とくに病気ではありません。
ニコチンには中毒性もありますし、
高血圧の場合は止めた方がよいでしょうか。
劇薬に指定されてますが。
石原さんは喫煙者なのですか?