血圧測定法のあれこれ
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は朝からちょっとばたばたしていて、
まだ仕事も途中です。
水曜日なので、午後は休診ですが、
例によって産業医の面談で遠征します。
それでは、さっそく今日の話題です。
血圧の話の続きですが、
今日は血圧の簡易測定法のあれこれを、
説明したいと思います。
まず、これをご覧下さい。
診療所の診察室で、今使っている血圧計です。
患者さんの腕に,
手前に映っているマンシェットという帯を巻いて圧迫すると、
後ろの本体の中に入っている水銀が上昇します。
その水銀の柱の高さで、
血圧を測定する訳です。
収縮期血圧に関しては、
聴診器を使わなくても、
脈を触れるだけで測れます。
拡張期血圧は、聴診器を血管の上に当てて、
コロトコフ音という音を聴くことによって、
測定します。
まず、マンシェットに圧を掛けて、
それをゆっくり解除していくと、
ある地点で「トク、トク」という独特の音が、
聞こえてきます。
これがコロトコフ音ですね。
聞こえて来る地点の血圧を、
収縮期血圧とします。
更に、圧を緩めていくと、
ある地点で「トク、トク」という音が、
ふっと小さくなり、そして、消えます。
この消える地点の血圧を、
拡張期血圧、とする訳です。
コロトコフさんというのは、ロシアの外科医で、
20世紀の初めに、このコロトコフ音による、
血圧測定を考案したのです。
この方法で測定した血圧が、
実際の血圧にほぼ一致することが明らかとなり、
この血圧測定法は、
世界的に普及することとなったのです。
この「ほぼ一致」というところが、
ミソですね。
問題なのは、
この「コロトコフ音」というのが何なのかが、
未だに解明されていない、ということです。
血管の壁から出ているのか、
血液の流れが音を作っているのか、
それも分かっていないですし、
何故拡張期血圧と、コロトコフ音の消失とが一致するのかも、
分かってはいません。
今更そんなことを調べても、
世間的な科学者の出世には、
全く結び付かないでしょうから、
多分永遠に分からないでしょう。
余談になりますけど、
こうした「分かる筈なのに、分からないこと」は、
世の中にはいくらでもあるんですよ。
科学の歴史でも、分からないけど、今更調べる人は誰もいない、
みたいなことは沢山あるんです。
「真実は誰でも知りたい」なんて、
大嘘です。
みんな得になることしか、調べたり研究したりはしないんですよ。
もし、世界を巨大なクロスワードパズルと考えて、
その穴を埋める作業は、
どんな些細なことでも、
同じように高く評価するような仕組みが出来たら、
科学は今とは比べ物にならないくらい進歩するでしょうね。
人間も今よりは絶対に幸せになる筈です。
でも、そうではないんですよね。
自己満足という名の名声も含めて、
名声と富に結び付かないような研究を、
する人は誰もいないのです。
そして、そんな研究にお金を出す人もいません。
悲しいけれど、それが人間ですね。
ごめんなさい。
話を戻します。
この血圧測定法(聴診法)の欠点は、
1つは原理がはっきりしないこと。
それから、もう1つは、測る人間のクセによって、
結構数値が変わってしまうことですね。
測る人によって、10くらい数字の違うことは、
決して稀なことではありません。
皆さんも、多分そのことは経験のある方が多いと思います。
それと、この器械に関して言えば、
毒性のある水銀が使われていることですね。
水銀の処理の問題から、今後この機器は、
使われなくなってゆく可能性があります。
と言うか、多分そうなりますね。
そのために、こうした器具もあります。
これをご覧下さい。
往診の時に使っているコンパクトな血圧計です。
水銀の柱はなく、その替わりにメーターが付いていますね。
測り方は聴診法なので、
同じようにコロトコフ音を聴くのですが、
メーターの目盛りを読んで測定するのです。
これは、目盛りが簡単に付いているので、
どうしても測定が大雑把になる欠点があります。
通常の測定には、これで充分なんですけどね。
こうした欠点を改良するために、
別の原理による血圧計も開発されています。
しかし、それはそれで、また別の欠点があるのです。
次回はその話をしたいと思います。
長くなりましたので、今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は朝からちょっとばたばたしていて、
まだ仕事も途中です。
水曜日なので、午後は休診ですが、
例によって産業医の面談で遠征します。
それでは、さっそく今日の話題です。
血圧の話の続きですが、
今日は血圧の簡易測定法のあれこれを、
説明したいと思います。
まず、これをご覧下さい。
診療所の診察室で、今使っている血圧計です。
患者さんの腕に,
手前に映っているマンシェットという帯を巻いて圧迫すると、
後ろの本体の中に入っている水銀が上昇します。
その水銀の柱の高さで、
血圧を測定する訳です。
収縮期血圧に関しては、
聴診器を使わなくても、
脈を触れるだけで測れます。
拡張期血圧は、聴診器を血管の上に当てて、
コロトコフ音という音を聴くことによって、
測定します。
まず、マンシェットに圧を掛けて、
それをゆっくり解除していくと、
ある地点で「トク、トク」という独特の音が、
聞こえてきます。
これがコロトコフ音ですね。
聞こえて来る地点の血圧を、
収縮期血圧とします。
更に、圧を緩めていくと、
ある地点で「トク、トク」という音が、
ふっと小さくなり、そして、消えます。
この消える地点の血圧を、
拡張期血圧、とする訳です。
コロトコフさんというのは、ロシアの外科医で、
20世紀の初めに、このコロトコフ音による、
血圧測定を考案したのです。
この方法で測定した血圧が、
実際の血圧にほぼ一致することが明らかとなり、
この血圧測定法は、
世界的に普及することとなったのです。
この「ほぼ一致」というところが、
ミソですね。
問題なのは、
この「コロトコフ音」というのが何なのかが、
未だに解明されていない、ということです。
血管の壁から出ているのか、
血液の流れが音を作っているのか、
それも分かっていないですし、
何故拡張期血圧と、コロトコフ音の消失とが一致するのかも、
分かってはいません。
今更そんなことを調べても、
世間的な科学者の出世には、
全く結び付かないでしょうから、
多分永遠に分からないでしょう。
余談になりますけど、
こうした「分かる筈なのに、分からないこと」は、
世の中にはいくらでもあるんですよ。
科学の歴史でも、分からないけど、今更調べる人は誰もいない、
みたいなことは沢山あるんです。
「真実は誰でも知りたい」なんて、
大嘘です。
みんな得になることしか、調べたり研究したりはしないんですよ。
もし、世界を巨大なクロスワードパズルと考えて、
その穴を埋める作業は、
どんな些細なことでも、
同じように高く評価するような仕組みが出来たら、
科学は今とは比べ物にならないくらい進歩するでしょうね。
人間も今よりは絶対に幸せになる筈です。
でも、そうではないんですよね。
自己満足という名の名声も含めて、
名声と富に結び付かないような研究を、
する人は誰もいないのです。
そして、そんな研究にお金を出す人もいません。
悲しいけれど、それが人間ですね。
ごめんなさい。
話を戻します。
この血圧測定法(聴診法)の欠点は、
1つは原理がはっきりしないこと。
それから、もう1つは、測る人間のクセによって、
結構数値が変わってしまうことですね。
測る人によって、10くらい数字の違うことは、
決して稀なことではありません。
皆さんも、多分そのことは経験のある方が多いと思います。
それと、この器械に関して言えば、
毒性のある水銀が使われていることですね。
水銀の処理の問題から、今後この機器は、
使われなくなってゆく可能性があります。
と言うか、多分そうなりますね。
そのために、こうした器具もあります。
これをご覧下さい。
往診の時に使っているコンパクトな血圧計です。
水銀の柱はなく、その替わりにメーターが付いていますね。
測り方は聴診法なので、
同じようにコロトコフ音を聴くのですが、
メーターの目盛りを読んで測定するのです。
これは、目盛りが簡単に付いているので、
どうしても測定が大雑把になる欠点があります。
通常の測定には、これで充分なんですけどね。
こうした欠点を改良するために、
別の原理による血圧計も開発されています。
しかし、それはそれで、また別の欠点があるのです。
次回はその話をしたいと思います。
長くなりましたので、今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
この記事へのコメント
普通成人の血圧上が147 下が94だそうです。
取り敢えず参考までに 以上です。
この人間ドック学会の一方的な発表は、
色々な意味で問題が大きいように思います。